10月30日、クロード・レヴィ=ストロースが100歳で死去した。読売新聞の11月4日の夕刊に書いてあった。いや、見出しはこうだ。
レビストロース氏死去
一瞬、誰のことなのか分からなかった(ネットで検索してみると他の新聞も「レビストロース」と表記している)。
それはさておき、もちろん、レヴィ=ストロースとは文化人類学者で、「構造主義」の生みの親である思想家だ。『悲しき熱帯』『構造人類学』『野生の思考』などの著作を残している。
私はここで『悲しき熱帯』でレヴィ=ストロースが残した名言を紹介したい。
『悲しき熱帯』は、南米での旅の記録をまとめた紀行文である。にもかかわらず、冒頭はこうである。
私は旅と探険家がきらいだ。
衝撃的だ。しかし、これを名言だといおうとしているのではない(名言だと思うが)。
名言は終章にある。レヴィ=ストロースの「狂牛病の教訓」という文章が『中央公論』(2001年4月号)に載ったとき、川田順造が解説で紹介していた。
「世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう」。これは世界26ヶ国語に翻訳され、原著が書かれて46年経ったいまもロングセラーをつづけている名著『悲しき熱帯』下巻終章の一節だ。人間のおごりを静かに戒める、これほど簡素で、だが決然とした言葉がかつてあっただろうか。その壮大な世界把握の前には、いわゆるエコロジストの運動なども、人間中心主義の一つの戦術として、色褪せてみえる。
(川田順造「なぜ狂牛病とレヴィ=ストロースか」)
今読むと深く感じる。
レヴィ=ストロースの脱人間中心主義思想を端的に表しているのではないだろうか。
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しかし私が持っている『世界の名著 59 マリノフスキー/レヴィ=ストロース』(中央公論1967年)にこの言葉は載っていない。抄訳版だから。
だから、『悲しき熱帯』を買う時は、全訳版でなくてはいけないのだ。
(確かこのことは、立花隆が『週刊文春』の「読書日記」で指摘していた)