【番外編⑥】くるりという「バンド」の実力
※番外編はライブレポートをお届けします。うつを晴らしたきゃ生で聴け!
僕はくるりのことを見誤っていたかもしれない。今日見たくるりという存在は、ロックシーンを代表するアーティストでもなく、ポストロック時代の旗手でもなく、すさまじい表現力をもった「バンド」だった。
時は6月23日、処はZEPP TOKYO。くるりワンマンライブツアーの中盤。先ごろリリースされたアルバムやその前のシングルから、ピアノを多用した、ポップでサウンドのふり幅の大きい、そんなライブになるだろうと思っていた。しかし、予想は完全に裏切られた。
開演前、ステージを見ると、ギターアンプ、ベースアンプ、ドラムセット。ほかに何も見当たらない。キーボードはどうするんだ?と思っていたら、岸田&佐藤とサポートドラムの堀川裕之が登場。そのまま演奏を始めた。
3ピース!?待て待て、最近の音源にはほぼ例外なくピアノが入っているじゃないか!いったいどうやって演奏するつもりだ?と思ったのだが、その答えはほどなく見せられることになった。
岸田のギターがすさまじいのだ。
序盤の、ニューアルバムからのナンバーからは、それほどすごみは感じなかったのだが、『かごの中のジョニー』からのインプロビゼーションで岸田ギターが牙をむいた。一本のギターから放たれているとは思えない、音の厚み。リズム体をけん引しているかのように感じられた。さらに続く『青い空』でのつんざくような音の鋭さ。身体を貫いていくかのようだった。
そして、本当のすごさはここからだったのだ。
中盤の、『ベベブ』や『さよならストレンジャー』などのミドルテンポのナンバー。ギターは最小限の音しか鳴らしていないのだが、その音の一粒一粒が実にきもちよく響いてくる。
ギターというのはこんなに豊かな表現力をもった楽器だったのか。6本の弦のひとつひとつが表情を持ち、プレイヤーによって生み出される震動がやはりひとつひとつ身体を揺らす。そうして低音から高音まですべてを支配することができるのだ、ギターという楽器は。
3ピースという形態によって裸になったバンドが鳴らした音。それはくるりという「バンド」の底知れぬポテンシャルを浮かび上がらせた。メジャーデビューから10年が経ったくるり。どこまでライブパフォーマンスを進化させてゆくのか。ポピュラーミュージックシーンにおける存在価値も無視はできないが、僕はこれから、とにかく彼らのライブに注視することになりそうだ。
すごいぞ、くるり。
セットリスト
〇LV45
〇愉快なピーナッツ
〇太陽のブルース
〇Natuno
〇かごの中のジョニー
〇つらいことばかり
〇青い空
〇ベベブ
〇鍋の中のつみれ
〇さよならストレンジャー
〇トレイン・ロック・フェスティバル
〇すけべな女の子
〇飴色の部屋
〇七月の夜
〇ロックンロール
〇ホームラン
〇虹
〇デルタ
~En~
〇魂のゆくえ
〇夜汽車
〇リルレロ
〇ブレーメン
〇東京

