古本の前の持ち主はどんな人なんだろう

この前、古本屋で、嵐山光三郎の『日本一周ローカル線温泉旅』(講談社現代新書2001年)『日本全国ローカル線おいしい旅』(講談社現代新書2004年)を買った。
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この写真で2冊を立てているのは、カールのブックスタンダーである。
ブックストッパーが安くていいかなと思ったが、2つ買うと1680円となり、ブックスタンダーと同じ金額になってしまう。じゃあ、ブックスタンダーの方がカッコイイ。
あと、エレコムのブックスタンドもあったが、送料がかかってしまうので、ブックスタンダーにした。


「ライン有り」とあったが、中を見てみるともの凄くラインが引いてある。
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前の持ち主は、いったいどんな人だったのだろうか?
ラインは、店名などの固有名詞、料金、評価の箇所に多くある。
きっと、前の持ち主は、この本をエッセイとしてではなく、ガイドブックとして読んだに違いない。
『日本全国ローカル線おいしい旅』の冒頭にこんな記述がある。

 これまで、やりたい放題のわがままな道楽ばかりで生きてきた。で、還暦をむかえた月夜の晩に、これからやりたいことを書き出してみると、①寝台列車の旅、②駅弁の再調査、③日本の奇祭めぐり、④港町の酒場で酔って女にもたれかかる、⑤神社のお参り、⑥海峡見学、⑦不良婦人発見、⑧ローカル温泉、⑨御利益のある散歩、⑩胃がほくそえむ料理、であった。

この10項目のうち8個にチェックが入っている。
相当、嵐山光三郎と関心領域が近い。
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チャックが付いてない2個は「港町の酒場で酔って女にもたれかかる」「不良婦人発見」で、女性関係の項目だ。
このことから、前の持ち主は、女性に興味がない生真面目なタイプなのではないかと推測できる(あるいは女性か)。
こんなふうに考えながら読んでいくと面白い。
古本を買うと、前の持ち主の痕跡が残っていることが、しばしばある。
昔、マックス・ウェーバーの『職業としての学問』(岩波文庫1936年)を古本で買ったときも、丁寧な書き込みがたくさんあった。
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たぶん、ゼミかなんかで読んだのだろう。
こういう書き込みがあると、後から読む人にとっても便利である。
栞には「ファミリーらーめん」の電話番号がメモしてある。
市外局番からみて川越近辺の人だろうか。
家庭教師の予定も書かれている。
火曜の大川君と土曜の布村君は「かわいい」らしい。
木曜の中川君は「ひょうきん」で、金曜の林君は「ちょっち かっこいい」そうだ。
前の持ち主は、ウェーバーを丁寧に読んで、週5日も家庭教師をするなんて、頭が良くて、きっとかわいい人なんだろうなと、妄想した。
その人の本を私が読んでいる、と思うとなんとなくうれしくなる。
大塚久雄の『社会科学の方法』(岩波新書1966年)はひどかった。
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ページによっては、ラインの方が多い。
しかも蛍光ペンで引いているから、読んでると目がチカチカしてくる。
見た目が美しくない。
この前の持ち主は、絶対、頭の悪い男だ。
『東大合格生のノートはかならず美しい』という本があるんだから、きれいに書き込みをする人も頭が良いのではないだろうか。
そして、根拠はないけど、「美しい人の書き込みはかならず美しい」と思う。
そう考えた方が楽しく古本が読める。

書を持って街へ出る