ザ・ローリング・ストーンズ『シャイン・ア・ライト』を観て、仲足龍造の店へ行った
2009年2月 6日[書を持って街へ出る] by ii氏
新宿の映画館でザ・ローリング・ストーンズ『シャイン・ア・ライト』を観た。
これは素晴らしかった。
最初の曲、「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」が始まった時、鳥肌が立ち、目頭が熱くなった。
これまで、そんなにストーンズを聴いてないにもかかわらず、である。
この映画のストーンズはとてつもなくカッコイイ。
平均年齢64歳なのに。
監督のマーティン・スコセッシはカッコイイ撮り方を知っているのだろう。
特にミック・ジャガーの動きやスタイルはスゴかった。
『ラスト・ワルツ』を観て5分で寝た「妻」も良かったと言っていた。
12月20日のSmaSTATION!!の「月イチゴロー」で稲垣吾郎は、
「ライブ映像であって、映画でない」
という旨の発言をしたが、はたしてそうだろうか。
この映画はライブ映像かもしれないが映画館で観る映画だ。
この感動は、茶の間ではとても味わえない。
そんな映画を、
「映画でない」
といえるのだろうか。
それにしても、ストーンズは、まだまだバリバリの現役である。
私ももっと精力をつけなくてはいけないと、思った。
そして、仲足龍造栄養研究所へ向かったのだ。
仲足龍造栄養研究所とは、「赤ちょうちん」というホルモン料理店のことである。
ここの料理を食べると、スタミナがつくのだ。
なぎら健壱は『東京酒場漂流記』(ちくま文庫1995年)にこんなエピソードを書いている。ちょっと長いが引用してみよう。
初体験の泡盛をその夜、佐野さんは四杯、ぼくは確か三杯飲んだと思う。肴の方も佐野さんが注文するままに、わけのわからないものを口にして、結構良いこころもちになって来ていた。
「親父、これでスタミナばっちりだな」
と、佐野さんが店の親父さんに声をかけると、
「そう、スタミナばっちり、ナカアシタツゾウ」
と、心得顔で親父さん答えると、大声で笑った。
その夜「仲足龍造の店」を出てから、佐野さんはあの有名な(有名と言っても、ぼくの本を読んだ人。ぼくがDJをやっていた文化放送のセイヤングを聞いた人。ぼくのコンサートでこの話を聞いた人等の、ほんの一部の人の間で有名なだけである)事件、「乗れたも同然事件」を起こすのである。
店を出て少し歩くと佐野さん、道端にある郵便ポストの前に立ちはだかり、
「なぎら、どの位スタミナが付いたか見せてやろうか」
と、言いながら、空手の中段突きの構えをしている。
「スタミナ? 幾ら相手がスタミナ料理と言ったって、今食べて直ぐにスタミナなんて付くわけないよ」
ぼくが、佐野さんのその奇妙な格好を見て、笑いながら言うと、佐野さんはまじめな顔をして、
「否、付く!!」
と言いながら、
「キエーッ」
と、大声を出したと思うと、目の前のコンクリートのポスト目がけて、力一杯正拳を叩き付けた。
ボコッと言う、大きな音がした。見ると、その拳を打ち込んだ場所が凹んでいる。
「佐野さん、ちょっと大丈夫、大きた音がしたけど、それに見てよ、ポスト凹んでるよ」
「見ただろなぎら、これがスタミナと言うもんなんだよ」
佐野さんそう言うと、なにもなかったように、スタスタ歩いて行ってしまう。
そのまま新宿駅の近くまで歩き、どこかで飲み直そうと近場の店を覗いたが、余り芳しい店がない。それなら佐野さんの地元まで行って飲み直そうと、新宿駅の構内へ入って行った。 中央線に乗るべく通路を階段に向かって歩いて行き、丁度その階段の下へ着いたとき、ホームから電車の出発を告げるベルの音が響いて来た。
その刹那、佐野さんは、
「なぎら行くぞ(付いて来いよ)」
と言うと、階段を猛烈な勢いで駆け上って行った。
「えっ?」
佐野さんを見ると、もう階段の上へ消えて居ない。
「(なぎら行くぞ)付いて来いよ」
の、声だけがそこに残っている。つまり音より早いわけである。
仕方がない、こっちも酔った身体に鞭を打つと、全力疾走でホーム目がけて駆け上って行った。
ホームに辿り着くと、信じられない光景が目に飛び込んだ。
なんと佐野さんが、閉じた電車のドアに頭を突っ込んでいる。したがって胴体は、ホームの上である。
そしてそのとき、大きな声で佐野さん、
「なぎら、乗れたも同然!!」
次の日、昨夜奢ってもらったお礼もあって、佐野さんのお宅へ電話をすると、当人は不在であり、奥さんが対応をしてくれた。
「......それじゃあ佐野さん、今病院に行ってるんですか」
「そうなんですよ」
「どこか具合が悪いんですか?」
「良くわからないんですけど、今し方電話が入ったもんで聞いたら、なんでも、右手の拳が複雑骨折してるんですって、なにやったんでしょうね」
「............」
店に入ると、今日は予約でいっぱいだと言う。
「............」
しかし、どうしもホルモンが食べたくなっていたので、末広亭の近くの店へ向かった。
つづきはコチラ↓
「新宿「日本再生酒場」から中央線に乗って国立「まっちゃん」へ」

