読書は一冊のノートにまとめなさい


 今回紹介する名言「読書は1冊のノートにまとめなさい」は、そのまま本のタイトルである。


 「忘れるものは忘れる。頭に残るものがあればそれは結果的に大切なものなのだ」なんて考えながらこれまで読書をしていた。高校生の頃に上記のことを漠然と意識しはじめて十数年。これまで様々な本を読んでいったが、果たして頭に残っているだろうか。そう自問したところ、あまり残っていないことにうすうす最近気づきつつあった。「大事なものなんてそれほどないのだよ」と自分に言い聞かせればそれまでだが、でももったいない気がしてならない。
 とはいえ、何か別の情報に触れると「そういえば、この件はあの本で言及していたはずだ」と書棚から目当ての本を読んでその箇所を探す、みたいなことはしているので、頭の片隅に残ってはいるようだ。そしてそれがひょんなきっかけで思い出されるみたいである。
 たとえば、昨年「地頭力」なんて言葉が流行したが、そのワードを読んで「そういえば『鈴木宗男は地頭がずば抜けて良い』みたいな言及を佐藤優が自著でよくいっていたな、巷で喧伝されている『地頭力』と佐藤優がいう『地頭の良さ』って同じものなのかしら」なんて思いだし、「国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて」・「自壊する帝国」・「獄中記」あたりをぱらぱら読み直し、該当箇所を確認する、みたいなことはしていた。


こういった現象について、脳科学者池谷裕二氏とコピーライター糸井重里氏の共著「海馬/脳は疲れない」では、次のように述べている。

 もの忘れやド忘れが増えると思えてしまう理由は、いくつかあります。子どもの頃に比べて大人はたくさんの知識を頭の中に詰めているから、そのたくさんの中から知識を選び指すのに時間がかかる。「大人が一万個の知識からひとつを選ぶようなものだとしたら、子どもは十個の記憶からひとつ選び出すだけだからすぐにできる」というような比喩ができます。

 生きてきた上でたくさんの知識を蓄えたわけだから、これはもう仕方のないことと言っていいと思います。ド忘れをしていても、その内容を誰かに言ってもらうと「あぁ、それそれ! それを言いたかった」とわかりますよね。つまり、ド忘れしている最中でも、その一方で脳は、正解が何かもまた、ちゃんと知っているわけです。つまり、忘れてしまった情報が消えてしまったわけではない。(P15)

 ここで言われている「ド忘れ」と私の悩みには若干のズレがあるけれど、この記述は私を勇気づけてくれる。読んだ内容が覚えていなくても、それは情報が消えてしまったわけではない、と気鋭の学者が言ってくれるのだから。でもなにか釈然としない。だって改めて本を眺めていると、まるで初見のように「なるほど、そうだよなぁ」なんて新鮮に思うときもあるし。それはどう説明されるのだろう。
 まぁそれは初見のときの自分にとっては重要ではないことが時間を経て重要なことになった、みたいなものかもしれない。たとえば若い頃許せなかったことが、時を経ることで許せるようになったようなものだから、己の成長・成熟・変化とポジティブにとらえるべきであり、それはそれで良いではないか、といわれればそうなのだけど、そう自分を慰めても、それにしてももう少し頭に定着していてくれても良いんじゃないの、なんて思うことがある。そんな問題意識をここ数年漠然と抱いていた。
今回紹介する「読書は1冊のノートにまとめなさい 100円ノートで確実に頭に落とすインストール・リーディング」はそんな本に対する問題意識を抱えて日々過ごしていたときに出会った本である。
▼こんな本です。
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冒頭で、著者はこんなことを書いている。

「いい本だったけれど、あまり身についた実感がない」
「読んだそばから、どんどん忘れていくような気がする」
「読みっぱなしで本の山が増えるだけ。読んだことはぜんぜん活用してない」
 こういうことを以前、僕はぼんやりと悩んでいました。(P2-3)

 私の問題意識と重なる!どう解決しようとしたのか、非常に気になった。・・先に断っておくが、私は著者の方法をすべて取り入れようとは考えていない。それよりも似た問題意識を持った著者がどういう対策をとっているのか、そしてその方法論は取り入れることができるものなのか、という部分に関心があるだけである。(しかも著者は同世代(年下!)である)
 著者はこの悩みを解決するため読書にまつわるあらゆる情報をノート1冊+データにまとめながら読む「インストールリーディング」なる読書法を提唱していた。

 インストールリーディングとは、単に早く、多く読みこなす技術ではなく、本の中身をきちんと咀嚼して確実に自分のものにする技術です。

 よって「読む」という行為だけでなく、効率的、主体的に本を「探す」「買う」技術でもあり、かつて読んだ本を死蔵せず、再度情報を引っ張り出して「活用」する技術です。(P26)

 「確実に自分のものにするための技術」という部分だけでそそられる。この技術の肝は「読書ノート」を使いこなす点にあるという。このノートの使い方には、次の4点にわけて説明している。

●思いつきメモ(日常の取材メモ)

 本に結びつく情報は日常のさまざまな場面に隠れています。テレビを見ていて気になったことや、友達と話していて気づいたテーマなど、何だって本につながる面があります。

 そうした日頃の思いつきを一つひとつ拾って、その都度ノートにメモしていきます。

 ポイントは情報を分類・整理せずに、一冊のノートにすべて書いていくことです。(P20)

●探書リスト(読みたい本をリストアップ)

 日頃目にする広告や書評をはじめ、ほかの本で紹介されていた書籍などをリストアップして「指名買い」するための書名リストです。これを使えば、書店で本を探す時間が短縮できるほか、自分のニーズ従って主体的に本を選べるようになります。(P20)

●読書ノート(読んだ本の感想を記録)

 本を読み終わったら、本の抜き書きと自分の感想をノートに書きます、読んだ内容を自分の中に確実にインストールするために、本とキチンと対話していく「ねぎま式読書ノート」という方法を紹介します。継続できることが重要なので、好きな本じっくり、そうでない本は簡単に、と融通を利かせます。(P20)

●検索テキスト(読書ノートのデータベース化)

 「検索テキスト」とは、ノートへ記述した内容をデータベースとして再度活用するために、パソコンで作っておく検索用のテキストデータのことです。

 これで、読了後の書誌データや、読書ノートのデータベースを簡単に作り、あちで自由に情報を引き出すことができます。(P20)

 読んだ内容を記録する「読書ノート」を作る点がとても興味深かったので実践してみた。
 本の抜き書きと自分の感想でノートを埋めていく(著者はそれを焼き鳥の「ねぎま」に引っかけて「ねぎま式」と称している)わけであるがこの作業、思いの外とても楽しい。恥ずかしいくらい楽しい。自分が読んだ本のうち琴線に触れた箇所がこのノートに集まっていくわけだから、要はおもしろい部分が凝縮されているわけで、読み返し甲斐がある。テープに好きな曲だけをいれて編集した「ベスト盤」のような状態になるわけで、このベスト盤を作っているようなわくわく感にかられる。
著者はこのインストールリーディングを

初期投資は100円くらいで売っているノートとペンだけです。(P9)

と、低コストで実施できることを強調する。
前著情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」でも

 本書で100円ノートを勧める最大の理由は安いからです。

 加えて言うと、100円ノートは品質がいい。紙質の面では、そこらの高級ノートを上回っています。

 容易に手に入ることも重要です。

 いつでもどこでも、コンビニで買えるから予備のノートを持ち歩く必要がない。どうせすぐ買い替えるので、雨に濡れたり、折れ曲がったりするこちに神経を使わなくていい。(P36-37)

 と力説していた。私も最初はこの思想に倣い(といっても私は超整理手帳ユーザーでもあるので、すべての情報を100ノートに集約はしていない)、コンビニで100円ノートを購入し読書ノートとして活用してみた。しかし私の鞄の中は、常に複数の本がひしめき合っている(入っていないと不安なのである)カオス状態が常で、普通のA6版のノートは鞄の中でもみくちゃにされ、ノート自体が折れ曲がってしまい、先行きがとても不安になった。
▼そこで、読書ノートを頑丈なノートに変更した。
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 モレスキンの「Ruled Notebook」である(A6版)。あの映画アメリで主人公も使っていたノートである。
 100円ノートの20倍弱の価格ながら頑丈だしページ数もあり非常に満足である。ちょうど雑誌「Pen 2009年 2/1号」で、「懐かしいデザインに惹かれて、ぬくもりの文房具」という特集が組まれ、このノートについて、言及されていたので、引用しておく。

 約200年前、フランスの小さな製本業者が製作し、パリの文房具屋に卸していた「モレスキン」。当時はまだ名もないノートだったが、黒い丈夫なカバー、拡張ポケットなどいまと仕様が同じだった。やがてこの無名のノートは、アンリ・マティスやフィンセント・ファン・ゴッホ、アーネストヘミングウェイなどの芸術家や作家にこぞって愛用されるように。だが、製造は減少し、1986年に工場は閉鎖余儀なくされる。

 そんななか、紀行作家のブルース・チャトウィンは、オーストラリアの旅をまとめた遺作『ソングライン』の中でこのノートを取り上げ、「モレスキン」と呼んだ。これをきっかけに、伝統を見直す機運が高まり、98年にミラノにある小さな出版社モド&モドが、このノートを復活させた。それ以降、「モレスキン」というブランド名も定着することになった。(P52)

▼ノートの巻末にポケットがついているのがとてもよい。
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 ノートを出せなかった時にメモったちょっとしたメモや、別紙にて作成することになる「探書リスト」の格納にちょうどいい。気になった本があれば「探書リスト」を取り出し記入、書店に行ったらここに書いてある本を率先して眺めるようにしている。
▼ちなみにこれが本日現在の私の探書リスト
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 ノートへの記入が増え、どんどん新調されることを想定し、探書リストは別紙で用意すと良いらしい。私のリストにはCDとかも混在しております。金額の項目を作った方が眺めて購入検討をする際にはいいかもな、なんて思っております。
 さらにこの本の最後に一章割いてインストールリーディングを進めていく上でおすすめグッズをいくつか紹介しているのだが、そのなかで特に感動し即購入したのが、「目玉クリップ 」である。
▼こんなふうにして使う
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 目玉クリップで目玉クリップを紹介しているページをクリップしてみた。抜き書きをするときや、このようにPCに打ち込む際に、もう便利この上ない。
 さてこの本が私の読書にどういう影響を及ぼすのであろうか。。一番わかりやすい形で反映されるのはとぐろ系会議だと思うので、乞うご期待!

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