「タンカレーNo.10」で創ったマルチニを飲んだ

前回、山口瞳の『酒呑みの自己弁護』(新潮文庫1979年)を読んで、マルチニが飲みたくなったことを書いたが、先日、昭島市にある昭和館というホテルの10階にある「ラウンジ ダコタ」でマルチニを飲んできた。


以前、吉田健一の『舌鼓ところどころ』(中公文庫1980年)をパラパラ読んだ時にこんな箇所を見つけたことがあった。
それ以来、いや、それ以前からもだから、それ以来もっと、私はカクテルを飲まないことにしていた。

カクテルというのは誰が考え出したものか知らないが、安い酒を兎に角どうにか飲ませるのにこれ程いい方法はなくて、つまりそういう安酒を混ぜこぜにしたものなのだから、これ位悪酔いするのが確実な飲みものもない。それで、うっかりお代わりしているうちに変に廻り始めるし、その場は儀礼的に持ちこたえても、後がいけない。

しかし、山口瞳を読み、マルチニを飲むことにしたのだ。
ちょうど昭和館から届いた案内に、「タンカレーNo.10」で創ったマルチニが載っていたので、それを飲んでみようと思った。

「ラウンジ ダコタ」で、そのマルチニを注文した。
すると、「メニューを持ってきます」とおかしなことを言われた。
持ってきたメニューには6種類のマルチニが載っていた。

マティーニ
カクテルの王様であり、飲む人、創り手に
よってさまざまなこだわりが生まれたカクテル。

ドライ マティーニ
ヘミングウェイの小説『河を渡って木立の中へ』
の中で登場したカクテル。
ジンに対してドライヴェルモット少量のハードなマティーニ。

エクストラ ドライ マティーニ
ドライジンにドライヴェルモットを1ダッシュ
超ドライなマティーニ。イギリスの首相を務めた
ウィンストン・チャーチルが好んで飲んだカクテル。

パーフェクト マティーニ
ドライヴェルモット、スウィートヴェルモットを使う
パーフェクトマティーニ。
口当たりは軽く、しかも滑らか。

ボンド マティーニ
数あるボンドマティーニの中からショーン・コネリー演じる
第6作「007 Dr.NO」に登場するカクテル。
ウォッカ、ドライヴェルモットを使用しシェイクで創る。

ダーティ マティーニ
ほどんどジンなので、アルコール度は強いがオリーブの油分で
まろやかな口当たりになる。
ダーティとは「汚れた」という意味。

私はドライ・マルチニを注文した。

山口瞳のようにオリーブを口に含み、楊子をテーブルの上に置き飲んだ。
うまい。
タンカレーNo.10は、そのHPによれば、かすかに甘さをともなう奥深い「香り」が特徴らしい。
そう言われるとそんな気もする。
他の5種類のマルチニも飲んでみたかったが、「悪酔い」するかも知れないので、止めておいた。
代わりに、通常の945円のドライ・マルチニを1杯飲んでみた。
比べてみると、風味が違う。
やはり、タンカレーNo.10で創ったマルチニはおいしい。
マルチニはこれくらいにして、ピザを食べ、ラウンジを出た。

その後、駅前の居酒屋で、日本酒でご飯を食べ、やはり、日本酒がいいなァと再確認。

しかし、途中で、ジンを買って帰った。
この日以来、我が家で飲む酒にジンが加わったのである。

書を持って街へ出る