今回から数回にわたってイギリス以外のヨーロッパ諸国で発見した個性的なトイレについて書いていきたいと思います。第一回目の今回はドイツの公衆トイレについてです。ドイツというと整然とした清潔感のある街並みを思い浮かべる方も多いと思いますが、公衆トイレもそんな町並みに恥じない清潔感を持っているだけでなく、「ドイツの工業製品」らしさを感じさせる質感とデザインを内包し、上質な雰囲気すら醸し出していました。
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ドイツの首都ベルリンの中心部にあるブライトシャイト広場にそのトイレはあります。この広場は有名ブランドの店が立ち並ぶクーダム通りと呼ばれる目抜き通りに面しており、人が集まる広場のようです。トイレは地下に潜っており、地上には地下鉄の入口のような構造物があるだけです。おなじみのトイレマークが目印です。写真ではわかりにくいですが、トイレマークの上にはWCの文字もあります。日本ではほぼ絶滅したと思われるWCの表記もドイツでは健在です。階段部分は日本でも最近流行りの半透明の素材が使われており、足元部分に埋め込まれた蛍光灯で全体が明るく照らされています。昔ながらの公衆トイレの陰気さは全くなく、光の道がこの先に広がる快適な空間を期待させるようです。バリアフリー対策も抜かりなく、車いす昇降用のリフトも用意されています。
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トイレの入り口です。金属的な質感の素材で統一された中に赤と青のアクセントが新鮮です。銀一色では無機質過ぎますが、この2色がいいスパイスとなって目に楽しい空間になっています。カメラが備え付けられていることと、禁煙であることを知らせるサインのデザインや配置の仕方もどことなくドイツ的な緻密さを感じるのは気のせいでしょうか。また、ヨーロッパの公衆トイレのご多分にもれずこのトイレも有料になっていますが、小便器は無料で個室のみ50ユーロセントという変則的なパターンになっています。
個室内部もご覧の通りゴミ一つ落ちていない清潔な空間になっています。個室の壁面は青系の濃淡のタイルとなっていますが、これは水のうねり、波を表現しているそうです。
と、このように非常に魅力的な空間となっているこのトイレですが、実はこのトイレを開設したのは自治体ではなく、一民間企業であるという点も注目すべき点です。Wallというドイツに本社を置くストリートファニチャー(バス停や街中の看板など)の企業が75万ユーロ(約1億2000万円)を掛けて、この地にもともとあった老朽化した公衆トイレを改装し、昨年の5月にオープンさせたそうです。トイレに関わっているストリートファニチャーの企業というと以前この回やこの回でフランスのJC Decaux社やイギリスのADSHEL社などを取り上げましたが、この2社はカプセル状の全自動トイレこそ扱っていますが、このような一般的なスタイルの公衆トイレは扱っていません。Wall社は他社よりもトイレに力を入れているんでしょうか。
いかがでしたか?ドイツ的な高い質感のあるインテリアとごみ一つ落ちていないという素晴らしいメンテナンス。有料でもちょっと入ってみたいという気分にさせるトイレではないでしょうか。Wall社の手によるこのトイレの優れたデザインを見て、日本の公衆トイレも民間企業の発想を取り入れたら面白いものができるのではないかと少し考えてしまいました。このような都市の景観に調和する新しい公衆トイレが日本の街に現れる日が来ることを祈ってこのコラムを締めたいと思います。
それではまた。
<今回紹介したトイレ>
ベルリン ブライトシャイト広場公衆トイレ
<関連リンク>
Wall社のプレスリリース
このトイレがオープンした際のWall社のプレスリリースです。