わが町の公衆トイレ紹介(1)

3回にわたるフランスのトイレ事情の紹介の後、久々に地元のトイレの紹介に戻ります。と、いうのも先日偶然この町を代表するといってもよいほどの素晴らしいトイレを二件見つけたからです。一つは歴史を感じさせる重厚感を持ったもの、もう一つは市内中心部のトイレ需要を引き受けるべく彗星の如く現れた最新鋭の公衆トイレです。今回はそんな相反する性格を持つ二つのトイレを二週にわたって紹介していきたいと思います。


まずは歴史を感じさせる方の公衆トイレから紹介していくことにします。市内中心部から少し離れた川沿いの閑静な住宅地にかかる橋のたもとにそのトイレはあります。

レンガ造りが歴史を感じさせはするものの、外観については他の公衆トイレにも見られるもので特に変わったことはありません。むしろ建物に絡まった植物とあいまって夜ともなれば少し近寄りがたい雰囲気もかもし出すかもしれません。しかしこのトイレが印象的なのはその内部なのです。

いかがでしょう?モザイクタイルに石造りの洗面カウンターが映える優雅な手洗いコーナーです。公衆トイレというと一つ一つ独立した洗面器が主流でカウンター付きというだけでも十分質感が高く感じられますが、このトイレではカウンター装備の上に黒系の石作りで非常に上質な作りになっています。モザイクタイルも主張を抑えた色調ながらトイレを華やかに見せることに成功しています。また、この洗面コーナーは一般的な公衆トイレとは違い入り口からもっとも遠いところに設置され、なおかつ入り口付近にはすりガラスによる仕切りがあるため落ち着いて手を洗えるスペースになっています。パウダールームとはちょっと言いすぎかも知れませんがそれに近い快適性を備えているという印象を受けました。

小便器もご覧の通り洗面カウンターと同様の石造りとなっています。石造りの黒い部分がかなり高く作られどっしりとした安定感が感じられるのに加え、両サイドの仕切りによってプライバシーの確保も万全と機能的にも優れています。便器の真ん中辺りになにやら模様が見えますが、最近流行の「的当て」だとしたらかなり先を行った装備ということになりますが本当のところはどうなのでしょうか(どんな模様だったかについては失念しました)。また、便器の上にある茶色の物体はセンサーまたは押しボタンかと思いきやそうではなく、ただの飾りのようでした。

こちらが個室です。扉が赤茶色で味わい深いものである以外はこちらには特筆すべき点はありませんでした。黒い便座が目を引きますが、こちらではよく見かけるものです。汚れが目立ちにくいからという理由からだと思いますが白系統の便座に慣れた日本人として生理的に受け付けないのか筆者はあまり好みではありません。同時に汚れが目立ちにくい=汚れていても気づかずに座ってしまうではないかと変に勘ぐってしまったりもします。便器洗浄はこれまたこちらでは時々見かける天井付近にあるタンクから伸びたヒモを引くタイプで、便器から水があふれるんじゃないかというほど大量の水が流れます。
いかがでしたか、この町に長い間根を下ろしているであろうこのトイレは優れた管理によって現在でもその輝きを保ち続けていました。キャパシティの面でも設備面(バリアフリートイレも別に設けられていましたが、利用には専用の鍵が必要なため中を見ることは出来ませんでした。)でも現在のトイレと比較して不満はないため、今後しばらくの活躍が期待できます。外のレンガ、中のモザイクタイルに石など多くのイギリスの家屋に通じる普遍的な美しさの強さを訴えかけているという点、そして現在にも通用する機能を持ち合わせている点でこのトイレは優れていると言えると思います。
さて、次回はこのトイレとは反対に新しい感覚を取り入れた公衆トイレを紹介します。
それではまた。
<今回紹介したトイレ>
ノッティンガム トレントブリッジ付近の公衆トイレ

衛生陶器愛好家の、トイレ巡礼