今回はフランス南部の都市、ニースの空港で見つけた衛生的な便座のお話です。不特定多数の人のお尻に直接触れた便座に腰掛けることに抵抗を感じるのはフランスの人々も同様のようで、今回紹介する便座にもその抵抗を低減する工夫が盛り込まれていました。それも、日本では見かけない方法で。
さて、ここで公共トイレで利用者の便座に座ることへの抵抗を減らす方法をおさらいしてみましょう。大きく分けて二つの方法が考えられます。一つは備え付けの便座シートに代表される便座と利用者のお尻の間を隔てるものを介させることで直接便座に触れることを避ける方法。もう一つは便座除菌クリーナーに代表される便座を利用者が確認できる形で洗浄・消毒することによって心理的安心感を与える方法です。前者に関しては以前取り上げたマイザレットやシートに紙ではなくビニールを応用したムービットなどのようにその一連の行動を便座自らが行う製品が日本で見かけることが出来ますが、後者に関しては今のところ存在は確認されていません。しかし、今回お目にかかった便座はまさにこの「洗浄・消毒」を自動化した製品なのです!果たして…。
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分かりにくい画像で恐縮ですが、こちらがその製品の実物です。以前にも紹介したこちらのページにも触れられている通り、U型は日本オリジナルであるがゆえにここフランスでは公共トイレでもO型便座が用いられています。さて、見たところ便座にはこれといった細工は見受けられませんがいかにして自らを消毒しているのでしょうか。画像を見てお気づきの方も居るかもしれません。そう、便座の背後にそそり立つ巨大なでっぱりがこの謎を解く鍵となっているのです。
この機能を作動させるためにはまず便座に座ってみる必要があります。腰掛けてしばらくするとセンサーが作動したと思われる「カチッ」という音がします。そしてその後立ち上がって個室から出ようとするタイミングで…。
巨大な出っ張りの中央部に色が違う部分があるのが確認できるでしょうか。この部分は青系のスケルトンとなっているのですが、使用後にこの部分がおもむろに便座側に向かって開き、内部から便座消毒用のバーが出てきて便座に密着します。すると「キュイーン」という甲高く細いモーター音を立てて今まで何の変哲もないものだと思っていた便座が回転し始めたのです!そしてバー部分が便座を一巡すると何事もなかったかのようにバーは収納され、次の利用者を待ち受けます。このメカ然とした一連の動作は甲高いモーター音と相まってまさにトイレロボットです。
使用感についてはまさに「この手があったか」といった印象でした。マイザレットやムービットのように便座の上に敷物を敷くタイプの便座では前者は便座とのずれ、後者ではビニールの触感がネックとなりますがこれは敷物を敷くのではなく便座を消毒した上で直接座るという形になるため上記のような問題は発生しません。センサー式のため利用者は普通の便座と同様に使用できるというメリットもあります。便座と密着する面は柔軟性の高いプラスチックで出来ており、水と専用の消毒液を使って消毒するそうです。この消毒液は1250回使用可能らしいですが、空港のような施設ですと思ったほど持たないかも知れませんね。また、価格はアメリカで99ドル99セント(12,000円弱でしょうか)と61,000円するマイザレットと比べると相当に割安です。
気になった点は公共トイレでの使用を前提としたものなので余り心配ないのかもしれませんが、男性が立って用を足した際などこの装置が作動しなかった場合の汚れの処理です。この便座には利用者が任意で作動させることが出来るボタンがないため、この場合今までどおりトイレットペーパーで掃除する必要があります。もう一つに便座と密着する面について、この部分のセルフクリーニングは行われるのかという点です。汚れをふき取るわけですから使用を重ねるたびに当然この部分は汚れていくことになります。セルフクリーニング機能または簡単に取替えが出来る機能がなければ汚れたもので汚れをふき取ることになってしまいますが、これについては説明が書かれていませんでした。
少し大型になりますが、この便座は高まる公共トイレの衛生意識に応える一つの方法といえるでしょう。自動消毒することによって利用者は便座に敷物を敷くことからもトイレットペーパーに便座除菌クリーナーを噴射して自らふき取る事からも解放されるわけです。そして、便座がくるっと一回転するというアクロバティックな動きも公共トイレに新しい風を吹き込んでくれそうです。日本ではやはりウォシュレットの普及などにより新たな需要は大きくなさそうですが、今後もヨーロッパの公共トイレで活躍していくことでしょう。
それではまた。
<今回紹介したトイレ>
ニース コート・ダジュール国際空港
<関連リンク>
CWS
この便座を製造するスイスの企業です。この製品は正式名称をCWS Cleanseatというそうです。業務用の芳香剤や自動で開閉するサニタリーボックスなど取り扱う製品は日本ではカルミックでおなじみのRentokil Initial社に近いものがあります。そういえばムービットや伊奈サニタリーナの原型となったクロソマットもスイス生まれ、かの国の衛生観念の高さを改めて思い知らされます。
この製品の情報はProducts & Systems > Washroom-hygiene > Toilet hygiene > CWS Cleanseatの順にクリックするとご覧になれます。
ASCHYGIENE.COM
アメリカでCWS Cleanseatを販売している業者のサイトです。CleanSeatのページに行くと実際にこの便座の消毒機能作動の様子が動画でご覧になれます!アメリカでの価格は99ドル99セントと相当割安感があります。ヨーロッパでもほぼ同様なのでしょうか。