日本には日本トイレ協会がありトイレ環境の改善などに取り組んでいますが、実はここイギリスでも同じような活動をする組織が存在するのです。その名はBritish Toilet Association、略してBTAとも表記されるこの組織は日本語にすると英国トイレ協会という意味となり、名前も日本のそれとそっくりです。
活動内容については毎年優れたトイレを表彰する(BTAは後援という形で参加しているようです)など共通点もありますが、日本トイレ協会は山の中や災害時でのトイレのあり方の研究、一方BTAは過去十数年から現在までの優れたトイレに関するデータを利用したトイレのコンサルティングなどというようにそれぞれ独自の活動も行っています。また、11月10日をいいトイレの日としたのも日本ならではで、これについては日本語以外ではあまり聞かれない語呂合わせの妙といった感じがします。ちなみにイギリスにはこれに相当する日はなく、トイレに関連する日は11月19日に制定されている「世界トイレの日」のみとなっています。
と、前置きが長くなってしまいましたがこの組織の存在に気づいたのも実際に優れたトイレとして表彰されたトイレに出会ったからでした。今回はイギリスのグッドトイレ10というべきLoo of the yearと実際にそれにノミネートされたトイレについてのお話です。
Loo of the yearとはその名の通り毎年優れたトイレを表彰するイベントを指します。選考や表彰などはLoo of the yearのための独立した組織が行い、BTAはその後援という立場のようです。”Loo”という単語は前々回のコラムで触れた通りトイレを意味するイギリス英語、このコラム二度目の登場であります。確かにToilet of the yearより語感がいいように感じられます。
日本のグッドトイレ10との違いはなんと言ってもその規模の大きさです。独自ドメインを持つLoo of the year専用サイトを開設し、この専用サイトから誰もが自分が優れていると思ったトイレをノミネートすることが出来るなどなかなかオープンな選考となっています。そして、このノミネートを受けて正式にLoo of the yearにエントリーするかどうかをトイレの管理者が決定し、所定の費用を払ったところでエントリー完了となるようです。この費用は調査に使うということなのか一箇所のエントリーごとに最も安い場合で約14,000円となかなか高価です。
賞は多岐にわたっており、とても複雑なので箇条書きで説明しますと
1. まずエントリーされたトイレを星5段階で評価、5つ星トイレはリストアップされる
2. 5つ星トイレを55の施設カテゴリーに分け、その中で国別(イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランド)トップに当たるトイレを選出
3. 多目的トイレ、幼児の着替え設備、公衆トイレ、55のカテゴリートップトイレのうち最も優れたトイレに対して国別に一つずつ選出
4. 10以上のエントリーがあり、5以上の5つ星評価を得たトイレを持つ企業や団体を高得点(一箇所のトイレごとに5つ星:5点、4つ星:4点、3つ星:3点で計算)から順にランキング付け
5. 4の地方自治体版
6. 3の各項目にトイレを維持する団体を加えた計5項目について、イギリス全土で一つずつトップを選出
7. 全ての項目を検討の上、”Loo of the year”を一つ選出
と書くだけで疲れてしまいそうなほどに多様な賞が存在しています。ちなみに4と5はランキングという性格からそれぞれチャンピオンズリーグ、プレミアリーグと呼ばれているのがなんともイギリスらしいところです。また、どうやら今年度からアイルランドもこの賞に加わるようです。
また、これと同時にAttendant of the yearと称して清掃スタッフに対する賞が存在するのがユニークです。清掃スタッフ個人、そのトイレがある施設に所属する清掃チーム、外部の清掃チームと3つの部門があり、こちらにもイギリス全土と国別の二つの賞が存在します。これは清掃スタッフのやる気の向上になかなかの効果があるのではないでしょうか。
読者の皆さんも賞の多さに圧倒されたかもしれませんが、ここで実際に賞を取ったトイレがどういったものであるかを紹介したいと思います。あいにくショッピングセンターという人通りの多い場所に存在するトイレだったため内部の写真を取ることが出来なかったのが残念ですが入り口でなんとなくそのこだわりを感じ取っていただけたら…と思います。このトイレはあいにくカテゴリーナンバーワンには選ばれていませんが2004年に5つ星を取得しており、なおかつ同年のAttendant of the yearも受賞しています。
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こちらがそのトイレです。入り口上部に掲げられた大きな案内表示といい温かみのある配色といいなかなかいい雰囲気をかもし出していませんか?内部には特に奇をてらった部分はありませんでしたがこの入り口と同様明るいブラウン系のアクセントが適度に効いていて好印象でした。家族連れが集まるショッピングセンターにふさわしいトイレと言えると思います。
このトイレの入り口付近に立てかけられていたLoo of the year受賞を伝える看板を見たときはまさかここまで大掛かりな賞だとは思っても見ませんでした。実際に調べてみると公式サイトの充実振りや賞の多様さなどさながらイギリスにおけるトイレのお祭りのような様相を呈しているなという印象を受けました。2006年度のLoo of the yearは7月末にエントリーが締め切られ、11月に選考結果が発表になるそうです。今年はどんなトイレに栄冠が輝くのか、楽しみにしたいと思います。
それではまた次週。
<今回紹介したトイレ>
Birmingham Bullring shopping centre
イギリス中部のバーミンガム駅のすぐ目の前にそびえる巨大なショッピングセンターです。
<関連リンク>
BTA British Toilet Association
Winners → 2005 Results Brochure in PDFの順にクリックすると2005年度の審査結果が全て載ったPDFがご覧になれます。ちょっと見づらいですが内容は充実しています。
Loo of the year
www.loo.co.ukという気合の入ったURLです。
Loo of the year 2004年の結果
インターネットアーカイブが役に立ちました。2004年度版のwww.loo.co.ukです。ここで”5STAR AWARD”と”ATTENDANT OF THE YEAR WINNERS”をクリックするとBullring Shopping Centreの名前が出て来ます。