バポナのある風景


公衆トイレなどに時々金色で縦長の箱のような物がぶら下がっていることがあります。箱の中には黄色の板…、勘のいい方ならお気づきかもしれません。そう、それはバポナ。吊り下げるだけで効くという触れ込みのあの殺虫剤です。虫が出やすいところということでトイレに吊り下げられているところをよく見かけますが、筆者はこの見た目に垢抜けない殺虫剤が少し寂れたトイレに置かれている風景がそこはかとない哀愁が漂っているように感じられて好きなのです。
しかしこの殺虫剤の正体を一度知ってしまうと少し近づきがたいものを感じてしまうのもまた事実なのです。今ではこれが付いたトイレに入るときには湧き上がってくるノスタルジーと同時にちょっとした緊張感を感じながら用を足しています。今回はそんなバポナについてのお話です。



上の画像が冒頭のバポナが備え付けられたトイレです。この洋式便器に座った人のほぼ頭上にあたる位置に吊り下げられているわけですが、いかがでしょう。くすんだブルーグレーの壁にくすんだゴールドのバポナ。まさにくすんだ色調が織り成す絶妙なコンビネーションが見て取れます。バポナには普通サイズ(上の画像のもの)・ハーフ・ミニの3つのサイズがあり、最も小さいミニだけは水色のケースに黄色い板というコンビネーションとなっていますが、普通サイズの無骨さにはかなわないもののこちらもなかなかレトロな趣があります。何はともあれ置くだけでトイレスペースのレトロ化に貢献する数少ない殺虫剤といえるでしょう。
それと同時にバポナには「置くだけで虫がいなくなる」というコワモテな特徴があります。スプレー式の殺虫剤なら目標物に向けて殺虫成分を噴射する必要がありますし、同じように「置くだけ」を売りにする他の殺虫剤は虫をおびき寄せて殺虫成分を食べさせる事で初めて効き目を発揮します。それに対してバポナは虫との接触をまったく必要とせず、その場に存在するだけで虫が勝手にお亡くなりになってくれるという殺虫剤なのです。
それだけの殺虫性能を支えているのがジクロルボスという有効成分。これが標準サイズの製品に21.39g(mgではありません!)も含有されているのです。この成分があの黄色い板に含まれており、それが自然に気化することで殺虫効果を発揮するようです。
さて、吊るしておくだけで虫が死ぬわけですから使い方によっては人体にも悪い影響が出るのは想像しやすいところでしょう。購入時に署名が必要なことからもこの製品の効能が容易に想像できます。また、購入し使用する際にもその使用場所は
人が常時立ち入る場所以外
に限られます。人は立ち入りますが長時間滞在することはなく、吹き抜けになっているなど比較的換気のよい公衆トイレはこの条件には当てはまるところでしょう。反対に自宅の室内に置くなどは控えたほうがよいようです。(以前バポナのコマーシャルで食堂に吊るしている場面を見た覚えがあるのですが・・・。)
と日本の殺虫剤界きってのコワモテ殺虫剤であるバポナですが、効果は確かなようなので用法を守れば便利な殺虫剤のようです。公衆トイレなどはちょうどいい用途かもしれません。ただ自宅に、となるとやはりちょっと考えてしまいます。私も虫は嫌いですが自分の体のことを考えるとちょっと・・・、となってしまいます。使用を検討されている皆さん、用法を守って快適なバポナライフを・・・。
実は私木村は約9ヶ月の間イギリスに行くことになり、それに伴い次回からの「衛生陶器愛好家のトイレ巡礼」はイギリスのトイレ事情についての記述がメインとなる予定です。なるべく週一回ペースでの更新を心がけますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
それではまた次週
<今回紹介したトイレ>
浜離宮
<関連リンク>
・内部リンク
2005年9月「サイケデリックうじ殺しワールド」
トイレにおなじみのもう一つの殺虫剤についてはこちらを。

・外部リンク
ああ、美しきゴキブリの世界!
バポナという殺虫剤を知るきっかけとなったサイトです。

衛生陶器愛好家の、トイレ巡礼