かつてサイホン式で一回16リットルもの水を使用した水洗便器は1980年代後半から1990年代初めにまず13リットルとなり、1990年代後半には10リットルに、そして2000年代にはいよいよ10リットルの大台を割って8リットルにと着実に節水化を進めてきましたが、今年春にその流れをさらに推し進めるべくINAXは一般便器からSATISに至るまで住宅用便器の約8割の製品を一回あたりの水量が6リットルという節水便器「eco6」に切り替えるそうです。
対するTOTOの方も、1994年から6リットル便器が法律で義務付けられているアメリカに進出している関係で現地向けの製品はすでに6リットル化されています。見た目にもそっくり(挙動もそっくりだとか・・・)な味噌を製品のテストに使うという有名なエピソードもあるTOTOだけに彼の地でも少ない水量でもきちんと流れると評価が高いようです。そのためTOTOがこの流れに追随するのもそう難しいことではなさそうです。
アメリカ以外でも東南アジアなど水資源がそれほど豊富ではない地域においても設置が奨励されるなど今後の節水型便器の標準となりそうな6リットル化の流れに合流し始めた日本の水洗便器ですが、その先陣を切ることとなるeco6の実力を検証する前に6リットル便器の「先輩格」であるアメリカ製便器に出会う機会がありましたので偵察の意味をこめてこちらに体験レポートを書いてみたいと思います。海の向こうで経験豊富なアメリカ製6リットル便器の実力やいかに?
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こちらがその6リットル便器です。丸みを帯びたデザインとタンク上についている水洗ボタンが海外製の便器らしさを感じさせます。タンク部分はワンピース型にしては高さがある印象です。ちなみにメーカーは日本でもホテルや飲食店で時々目にするAmerican Standard、「私こそがアメリカ標準」という自負に満ちた誇り高いブランドであります。
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左の画像がふたを開けたところ。6リットル便器というと水溜り面も控えめなのかと思いきや、日本製便器で言うところのサイホンゼット式に近い大きさの水溜りが確保されています。右の画像は便座取り付け部分付近についているロゴと「6.0 Lpf/1.6 gpf」の表記、6リットル便器である証です。ガロン表示も併記されている辺りはさすがアメリカ製です。1.6ガロンは1ガロン3.8リットルとして6.08リットルですからほぼ同じ意味となります。
肝心な洗浄方式はというと日本の便器とは違うものなのか水流や洗浄音が少し独特です。水面の広さから見るとサイホン式などのように渦を巻くような水流をイメージしますが、そうではなく水はまっすぐに排水部分に向けて流されます。それに加え排水部分付近に開けられた穴からも水が勢い良く排出され、汚物を押し流すような形になります。洗浄音もサイホン式のようにゆっくりとしたものではなく、「ジャー」というやや高めの勢いのいい音がします。以上のことから日本で言うブローアウト式のような特徴を持っていると考えられるのですが、国産のブローアウト式は十分な水勢が得られないというからフラッシュバルブとの組み合わせしか存在しませんのでこれとも少し違うものなのでしょう。しかしタンク式の便器としては水勢がかなり強めなことには変わりないようで、タンク上部の水洗ボタンは押す際にかなり手ごたえがあり、押した瞬間堰を切ったように水が流れる感触はちょっと癖になるかもしれません。
さて、以上がこの便器についての簡単な特徴説明ですがこの辺で本題に入ることにしましょう。結論としてこの便器は実用に耐えうる洗浄能力を持っているのでしょうか?残念ながらその答えは「少々力不足」となりそうです。汚い話で恐縮ですが、この便器を試した際たまたま普段より多めに出るものが出ましたのでこれは好都合と洗浄ボタンを押したところ、明らかにそれと分かる量の流し残しが発生したのです。多めとは言っても珍しく多いというほどの量でもなく、普段使用する国産の便器なら問題なく一度で流してしまう量だったにもかかわらず、です。流し残しが発生すればせっかくの6リットル便器でも2回流すことになり、結果的に12リットルの水を使用することになってしまいます。この春登場のINAXのeco6は今までの国産便器と同じように「流れるのが当たり前」であって欲しいものです。
と、酷評してしまいましたが設置されている建物の雰囲気からしてこの便器はまだ6リットル化がなされたばかりの頃の製品だと思われます。現在の製品はこの頃の製品に比べて格段の進歩を遂げているはず。こういった技術の進歩にはメーカー間の競争も必要ですから今後も世界の便器メーカーが節水技術について積極的に取り組むことを願って今回のコラムを締めたいと思います。
それではまた次週
<今回紹介したトイレ>
ザ・ブセナテラス ビーチリゾート