ウォシュレットファミリーの系譜(1) どうなるGシリーズ 

各メーカーとも春に向けた新製品の発表の季節となりました。トイレメーカーも例に漏れず、TOTOもいくつかの新製品を発表しました。その中で私が注目したのはウォシュレットの廉価モデルであるSシリーズのモデルチェンジです。新Sシリーズという製品自体はまさに正常進化といった趣なのでそれほど驚きはありませんでしたが、そこであることに気づいたのです。
それは本来Sシリーズの上にあるべき存在のGシリーズが長らく何の改良も加えられないままカタログに載り続けているという事実です。本来は充実装備の最上級機種という位置づけのはずなのですが、地味ながらも数年置きに改良が加えられるSシリーズや「新たな主役は私」と言いたげに新技術が順次取り入れられていくアプリコット、そして突如登場したリモコン・ワンダースピン洗浄を装備するワンランク上のSシリーズというべきS1,S2などの陰に隠れて次第に存在感が薄くなっているような気がしてならないのです。
今回は二週にわたってこれまでの製品展開を振り返りながらこれからのウォシュレットファミリーを展望していきたいと思います。今週はまずGシリーズを中心に今後のウォシュレットシートタイプの最上級機種の流れを占います。


一昔前のウォシュレットは充実装備のGシリーズと普及価格のSシリーズという2シリーズ体制を取っていました。最新技術が真っ先に投入されるのはもちろんGシリーズのほうですが、Gシリーズに追加された機能の一部が何世代か後のSシリーズに搭載されることでウォシュレット全体のスタンダードが向上していったわけです。
筆者の実家で現在でも使用中のGX/SXシリーズの頃はGXシリーズでも下位グレードのGXⅠだと脱臭や着座センサーはおろか便座便ふたソフト静止すらついていない(今や普通便座でもついているというのに!)という状態だったためSXシリーズは本当に必要最低限の装備しかついていませんでしたし、吐水ノズルも見るからに貧弱で実際の吐水量も明らかに少ないことがはっきりと分かるほどでしたからその分Gシリーズが非常に輝いて見えたものです。GシリーズがGα、G、GA/GBとモデルチェンジを重ねるたびにSシリーズも影ながら実力を向上させ、最近では「Sシリーズでも十分かな」と思えるほど立派になってきたため当時ほどの輝きはありませんがやはり上位機種としての存在感を歴代Gシリーズは持っていたといえます。
そう、現行GシリーズであるところのGA・GBシリーズだって登場当時は輝きを放っていました。マッサージ洗浄、オゾン脱臭、そしてもちろん便座便ふたソフト静止の標準装備と装備レベルが大幅に向上したGα、最上級グレードの部屋暖房や操作を基本的にワイヤレスリモコンで行うようにするなど現在の上級機種に通じる流れを作ったGに続いてGA・GBは現在全てのウォシュレットに装備されることになった「やわらか洗浄」を初めて装備しました。スタイルもそれまでのGシリーズと比較して滑らかかつ最上級機種としての気品が感じられるものになりました。
変わったところでは、この機種は各グレード一律で2万円の値下げを行っています。これにより今までの下位グレードの価格で上位グレードの製品が買えることになりました。また、これまでのエクセルカラーに代わってディープカラーというシリーズをラインナップしたのもこのシリーズでした。名前の通り濃い色なのですが、エクセルカラーと比較してより原色に近い色になっています。最も違いがあると思われるのはグリーンで、モスグリーンのような色調のエクセルグリーンに対して常緑樹の緑のように力強いディープグリーンという印象です。下の画像はエクセルブルーの便器にディープブルーのウォシュレットGP(機能はGBのままワイヤレスリモコンと電源スイッチ、タイマー節電を省いた機種です。価格差が5,000円ならばGBにしようという方がやはり多いのか、結構レアな機種です。)を装着した図ですが、少しディープブルーのほうが紫がかった鮮やかな青になっているのがお分かりになるでしょうか。

そんなGA・GBそしてGPの登場から2年、「そろそろ新型Gシリーズ登場かな」と思っていた矢先のことでした。テレビを見ていた私の目にはTOTOの新型ウォシュレットのCMが飛び込んできました、しかしちょっと様子が違うのです。そのスマートな新型ウォシュレットは自らをGではなく「アプリコット」と名乗ったのです!「ウォシュレットの新種登場か!?」私は早速TOTOのWebサイトを開き情報収集をしました。するとどうでしょう、その新機種はこれからの最上級機種と成るに十分な内容を持っていました。しかし、初期のアプリコットは室内暖房とディープカラーの設定がなく、なおかつ型番がCであったことから嘗て存在したコンパクトタイプでGシリーズとSシリーズの中間に位置したCαシリーズの生まれ変わりか?などと考えられなくもなかったのです。
しかし翌年2000年には最上級機種の条件の一つである室内暖房つきの機種が登場、さらに2003年のマイナーチェンジでは便座の自動開閉や自動便器洗浄機能を新たに搭載、そして2005年には音楽再生に対応などアプリコットには数々の最新技術が惜しげもなく投入される中、Gシリーズは今年で9年目を迎えるにも関わらず何の改良も加えられていない、という状況を見るたびTOTOはこのGシリーズを今後どうして行きたいのか疑問に思わずにはいられません。Gシリーズの最上級グレードであるGAは139,800円であるのに対しアプリコットの最上級グレードのN5Aのクリーンコート便座タイプは172,000円とすでに最高額モデルの座はアプリコットにあります。機能的にもGシリーズにあってアプリコットにない機能はありません。こうなるとGシリーズの価値は3週間前に取り上げたデザイン便器専用モデルと結局Gシリーズ以外が採用しなかったディープカラーの存在位しかないことになります。ディープカラーは便器ではすでに廃盤になっていますしデザイン便器も今後数は減っていく一方でしょうからこれらの需要がなくなるまでは製造が続けられ、ひっそりと消えていくのでしょうか。現行アプリコットの機能はもはや「行くところまで行った」感がありますからその上のモデルが出ることは考えにくいですから、今後Gシリーズの系譜が続いていくには現行Gシリーズ亡き後に現在のアプリコットの後継となる機種が新たにGを名乗るしかないような気がします。ただすでに「アプリコット」の名が七年目に入って浸透してきていることからまたGに戻るという可能性はそれほど高くないような気もします。なにはともあれ9年間も生きながらえた現行Gシリーズには最後までGシリーズとしての誇りを持って余生を送ってもらいたいものです。何しろGシリーズのGはゴージャスのGなのですから・・・。
<おしらせ>
三週間前の「懐かしい三兄弟」にデリシア小便器の画像をアップしました。しかもエクセルブルーです!今回のエクセルブルーの便器にディープブルーの便座が装着されているトイレで発見しました。
それではまた次週
<今回紹介したトイレ>
三省堂書店 神田本店
地下鉄各線神保町駅下車徒歩3分
<関連リンク>
Wikipedia ウォシュレット
非常に参考になりました。G=ゴージャスと知ったのも今回が初めてです。
株式会社 パンウォシュレット
ウォシュレットを製造している会社です。ウォシュレットの歴史は圧巻です。

衛生陶器愛好家の、トイレ巡礼