小便器の洗浄に赤外線センサーが導入されたとき、世の男性はあの無骨な金属製のボタンを押すことから解放されました。その便利さからか今やセンサー式でない小便器の方が珍しく感じるほど普及しています。ボタンからセンサーへ、この進化は小便器の歴史において大きな一歩であるといえるでしょう。そして今、赤外線センサーからの更なる進化を遂げた新しい小便器が世に問われています。果たしてその小便器の仕組みとは、そしてその小便器は次世代の標準となるのか検証してみたいと思います。
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これがその新型小便器です。形を見てTOTO製だと分かった方は鋭いです。少し前まではTOTO=角、INAX=丸というイメージだった小便器のデザインですが、最近はTOTOの方も新型が出るたびに角の取れたデザインになっていく感じがします。この便器でもその流れで以前の赤外線センサー一体型の機種からさらに丸みを帯びた形になっています。尿の撥ねにくさなど実用性を考慮に入れた形なのでしょうか。
この小便器を見てまず気づくことはセンサーが見当たらないこと、これに尽きると思います。しかしこの小便器の場合、センサーは私達利用者の目に見えないだけでセンサーが存在しないわけではないのです。この辺りは最近関東のJRの駅で幅を利かせ始めたセンサーなしのそれとはわけが違います。件のセンサーなしの小便器はむしろ進化ではなく退化ではないかと思いますが、この便器には赤外線センサー式から先に前進しようとする意気込みが感じられます。赤外線センサーでは人を感知している時間の長さに応じて流す水の量を変化させることが可能になったためその分節水効果がありましたが、赤外線センサーの場合
「人が便器の前に立っている時間(センサーが人を感知している時間)=放尿時間」
と判断されるため、思いのほか出が悪いときなど便器前に立っている時間のうち放尿していない時間が長いと、その分無駄な水量が流れてしまうのです。つまり流す水量を決定するには便器前に立つ人を感知するよりもむしろ出された尿そのものを感知するほうが理想的なわけです。そして、それを実現するために新しいセンサーを内蔵したのがこの便器なのです。
新しいセンサーについて軽く説明しましょう。この便器のポイントは尿を検知出来る点ですが、そのために今までの赤外線センサーと決別し、新たに採用したのがマイクロ波センサーと呼ばれるものです。これは高速道路の速度取り締まり機などにも採用されているもので、反射されてくる電波の波長の変化により物体の動きを検知できるというものです。だから人の位置だけでなく尿が出されているかどうかも検知できるというわけです。また、このセンサーは赤外線とは違い陶器を透過することが出来るためセンサー窓を設ける必要がなくなりました。ちなみにセンサーは便器の上部裏側に隠されていますが、すっきりとしたデザインに出来ることとセンサーへのいたずらを防げるという効果があります。また、肝心な節水能力については以前のセンサー式に比べ約10パーセントの節水効果が期待できるそうです。
使い心地は至って普通です。ほとんどの人が前述のような最新技術が盛り込まれた便器だとは気づかないでしょう。ちょっと意識して使う人にとってはセンサー窓がなく、しかも感知したことを示す赤ランプもつかないため「感知されている」という実感がないのにきちんと使用後に流してくれるというところに新鮮な感覚があるかもしれません。
欠点としては以前使用した際にほとんど量が出なかった際には反応してくれない点が挙げられます。以前尿意が強くない中試した際、チョロチョロとしか出ず反応してくれなかったことがありました。この辺の感度は要改良かと思いました。
このようにまだまだ完璧とはいえない部分もありますが、小便器のしかも「流す」という重要な部分で久々の新技術の登場ということで歓迎したいところです。センサーを露出させる必要がないということでデザインの自由度もおそらく上がるでしょうし、節水に関してもまた一歩進んだ感があります。登場して間もないだけにまだ体験できる施設は限られていますが、そのうち徐々に普及してくるのではないかと思います。この流れにINAXが追随してくるかどうかも今後のこの方式の普及を左右すると思われるので注目したいですね。
それではまた次週
<今回紹介したトイレ>
首都高速 大黒パーキングエリア
<関連リンク>
TOTOニュースリリース
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