O vs U

「O型とU型どちらが好きですか?」
ともし突然聞かれたらどう答えますか?いきなり言われたら見当がつかないのではないでしょうか。血液型?脚の形?それとも電車の路線の形?・・・どれもしっくりときません。
ヒントはトイレの中にあります。ふたを上げて便座を上から見てみてください。何かに似ていませんか?そう、O型とU型はそれぞれ便座の形を意味する言葉なのです。念のため、便座の先端が割れているのがU型、先端が繫がっていてドーナツ状になっているものがO型です。U型を前割タイプ、O型を前丸タイプという場合もあるそうです。先端が割れているか割れていないか、これだけの違いしかなければどちらか一つに統一されてもいいようにも思えますが、この一見小さいように見えるこの違いには実は重要な意味があったのです。


この二つのうちどちらがいいかについては好みが分かれるところでしょうが、もし統計を取ることができたならおそらくその結果はU型の男性支持率が高くなることでしょう。なぜなら、U型便座は男性の要望から生まれた製品だからです。
このU字型便器のメリットは二つあります。一つは男性が便座に腰掛けたときに便座の先端に男性器が触れるのを防げる点、もう一つは男性が立って用を足す際にしずくが便座にたれないように出来る点、この二つです。つまりどちらも男性にのみ関係あるメリットということになります。
後者に関しては仮に先端が欠けていても狙う範囲が狭くなることに変わりはないので、多くの方はU字型でも便座を上げて使うのでは?という気がしますが、前者は確かに気にされる方も相当数いるのではないかと思います。一度友人宅の温水洗浄便座購入に付き合ったことがあるのですが、その際に応対してくれた某家電量販店の初老の店員さんはINAXシャワートイレに傾いていた友人の家族にTOTOウォシュレットを勧める際に便座の「穴」の面積がINAX製品より大きいため男性器が当たりにくいことをアピールしていました。実際、そのアドバイスの効果もあって(いきなり「下」の話を持ち出した店員さんへの敬意という意味合いも?)友人の家族はTOTOウォシュレットを購入していきました。
家庭で使う便座でさえ嫌なのですから、外出先のトイレで当たりやすいというのは人によっては大問題なのでしょう。一部の例外はありますが、公共のトイレにはU型便座が多く採用されています。家庭用はどちらかというと座る自由度が高いことや先端まで便座でカバーされていることなどのO型便座のメリットがいい方向に出るからかO型便座が多く使われているようです。公共のトイレはU型、家庭用のトイレはO型という風に住み分けが出来ているわけですね。
しかし、最近ではそんな住み分けも一筋縄では行かなくなってきています。近年U型便座の活躍の幅が次第に狭まっているのです。その理由として挙げられるのはウォシュレットの普及、パブリックむけ温水洗浄便座というカテゴリーが存在するにも関わらずそれに属する製品はそろってO型を採用しており、U型の出る幕はありません。また、メーカー自身がU型の生産を縮小している点も見逃せません。一昔前には温水洗浄便座とまでは行かなくとも暖房便座にはU型のものがあったりもしましたが今や見る影もありません。また、普通便座のほうもかろうじて生産されているU型便座はふたなしのいかにも公共トイレ用という趣のもので、「家庭でもU型!」という熱烈なU型派には住みにくい世の中になったといえるかもしれません。
U型便座が生まれた時代より人々の衛生に対する意識は強くなっているはずなのですが、それに反比例するように男性の衛生意識に答える製品であるU字型便器は衰退しているというのは考えてみると面白い現象です。しかし、人々の衛生意識の高まりに呼応するようにあらゆるトイレの衛生状態も向上していることは間違いないでしょう。もはや便座から病気がうつると考えることは少なくとも私個人の体験ではないですし、もし心配だとしても便座除菌クリーナーなどを携帯すれば解決できます。このように、環境の改善によってもはや便座の先が割れているか否かは大きな意味を持たなくなったのではないかと考えられます。
私個人としてはO型の完全な輪の形をしていることに由来する剛性感のある座り心地の方が好みなのですが、今後のU型便座の動向には興味があります。今後も数は減っていき、なつかしのトイレ用品となってしまうのか、それとも細々と生き残っていくのか。これからも見守って生きたいと思います。
それではまた次週
<関連リンク>
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折原製作所 製品化への道 第一回 U字型便座

衛生陶器愛好家の、トイレ巡礼