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2005年12月 7日

My+座+toiLET

温水洗浄便座や暖房便座はなどといった製品は特殊な機能を持つ便座としてすでに市民権を得た感があります。今や温水洗浄便座はデパートやホテルなどにはほぼ確実に付いていますし、暖房便座も駅や公共トイレなどに進出してきています。


しかし、この二つほど知られてはいないものの、多くの便利な「小物」が存在する公共トイレの世界にはさらにもう一つ、公共トイレならではの特徴的な機能を持つ便座が存在するのです。その機能はさしずめ「人々の衛生観念に応える」と言ったところでしょうか。果たして・・・。

それはTOTOの製品です。TOTOの付加機能付きの便座は温水洗浄便座なら「Wash+toiLET」でウォシュレット、暖房便座なら「Warm+toiLET」でウォームレットなど商品名を聞くだけでなんとなく機能が想像できてしまう優れものですが、この製品の場合はどうでしょう?


製品名『マイザレット』


想像できますか?ちょっとこれは難しいかもしれません。それではヒント、これがその製品です。



ご覧の通り、想像の付かないネーミングの割りにシンプルなデザインです。さらに便座が公共トイレで使われることの多い先端部分がつながっていないU型であること、最初から便ふたが付いていないことなどからこの便座が公共トイレでの使用を前提としていることが分かります。「このピンク色のボタンを押すと何かが起きるのでは?」という方、正解です!そして「便座の背後にある怪しいふくらみに秘密が隠されているのでは?」という方もこれまた正解です。


さらにヒント、この便座は多くの人が公共トイレの洋式便器を利用するときに感じるある不快感を軽減するのに重要な役割を担っています。もうおわかりでしょうか。そう、この便座はボタンを押すことで自動的に一回分の便座シートを出してくれるトイレなのです。この特徴から察するに「My(私の)+(便)座+toiLET」からの造語ではないかと私はにらんでいます。


使い方はごくごく簡単。ピンク色のボタンを押すと軽い機械音と共に一枚分の便座シートが背後のふくらみ(ここに巻き取られた状態のシートが格納されています。)から便座の上に吐き出されます。シートの真ん中で楕円を描くように付けられたミシン目に沿って穴を開けると「My便座」の出来上がり!というわけです。シートは出てきた時点で切り離されており、固定されていないため穴を開ける際に若干コツがいるような気がしますが、基本的にどんな人でも使えるような簡単操作です。また、使った後は水で一緒に流せるので便利です。


一見便利そうに見えるこの便座ですが、実はある問題があります。それもこの便座自体の問題ではないところでの問題です。それはメンテナンスが忘れられている個体が多く存在するという点です。機械を通して便座シートを供給するという形態なので減っていく実感が薄いからなのかどうかは定かではありませんが、これが装着されていても肝心の便座シートが紙切れを起こしてせっかくのマイザレットがただの便座になっているケースが多く見られるのです。実は上の写真のマイザレットもそんな個体の一つでした。こういったトイレを見るたびにせっかく付けたんならちゃんとメンテしなきゃ・・・、と嘆きの声を上げずにはいられません。しかし、このマイザレットにはマイザロールと呼ばれる専用のロール状になった便座シートを使用しなければならないようで、このシートのコストがかさむなどTOTO側の理由も全くないわけではないのかもしれません。


問題はこれだけではありません。それはこのマイザレットがまさに「便座シートを供給する」機能に専念したモデルであるということです。つまりこの便座は紙を出してはくれるものの、便座を暖めたりおしりを洗ってくれるわけではないということです。最近は公共トイレの中でもオフィスやデパートなど場所によっては温水洗浄便座に対する需要が高い施設が多くなっています。マイザレットもこういった施設をターゲットにした製品ということで両者は真っ向からぶつかることになりますが、おしりを暖めて、しかも洗ってくれる温水洗浄便座とただ紙を出すだけのマイザレットではマイザレットは俄然不利になってしまうのではないでしょうか。何しろ便座シートを供給するという目的なら何もマイザレットを置かなくてもトイレットペーパーの脇あたりのホルダーに置いて使いたい人が取って使うという形にしても特に不便はないのですから。


と、いうように筆者の考えでは今後マイザレットの台数が増える公算はあまりないように思います。公衆トイレにはまだまだ結構魅力的な製品かとも思いますが、便座シート供給という機能に61,000円を高いと考えるか安いと考えるかが決め手となると思います。以前はウォシュレットのような外観でただシートを排出する機能しかないため面白みのない便座だと思っていたマイザレットですが、最近のように見かける頻度が低くなるとたまたま装備されたトイレを発見したときの喜びが大きいです。形もよくよく見ると愛嬌のある形に思えてくるから不思議です。私の小さい頃から姿を変えずに細々と売られている製品だけに今後いつまで生きながらえるか興味深いと同時に、シートペーパーを供給するだけ、というためだけの便座を生み出した当時のTOTOの勢いにも思いを馳せることが出来ます。知らぬ間に暖房便座や果てはウォシュレット装備のマイザレットⅡなんていう機種が出たら素敵だとも思います。最後になりますが、今でもマイザレットを装備しているトイレを持つ施設の管理人の皆さん、どうかマイザレットにマイザロールを!やはり工業製品は「動態保存」していただきたいと思うのです。


<今回紹介したトイレ>
90年代初頭~半ばごろのクリーンドライがあるトイレ
首都高速本町駐車場 南入口側
地下鉄日本橋駅または三越前駅から昭和通りへ、江戸橋ジャンクションそば


<関連リンク>
http://www.rakuten.co.jp/tom/500060/500070/
マイザレットもオンラインで買える時代です。フラッシュバルブ式の便器にしか付かないそうなのでおいそれと個人宅に「お一ついかが?」とはいえないのがネックです。


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