先週に引き続き今回も独特の居心地の良さを持つお寺のトイレを紹介していきます。今週はところ変わって京都のお寺のトイレです。この夏私は初めて京都を訪れ、市内観光をしながらいくつかのお寺に立ち寄りました。その際に見つけたのが今回紹介するトイレ、というわけです。
先週紹介した永平寺のトイレは質素な雰囲気の中に荘厳さを内包した、どことなく「修行に励む場」としてのお寺を感じるトイレだったのに対し、こちらのトイレは入ってすぐに自分にしっくりと来るような、言ってみれば「人々の心のよりどころ」としてのお寺を感じるような気がしました。作りなどは特に変わったところはないのですが、なぜか長居したくなるような空間でした。果たして・・・。
人々でにぎわう四条通から少し離れたところにある建仁寺にそのトイレはあります。こちらは日本最古の禅宗の本山寺院だそうで、非常に品のいい作りで全体に落ち着いた雰囲気の漂うお寺でした。実は私は当日市内を歩き回るまで知らなかったのですが、入ってみるとすっかり気に入ってしまいました。
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「気に入った」というのはもちろんトイレだけではなくお寺全体の作りや雰囲気も気に入ったということですが、これはトイレをメインに取り上げるコラムですので主にトイレについて書いていきます。このお寺にも何箇所かトイレがあり、そのいくつかは以前「愛すべきレトロ空間(3)」で写真を掲載しました。「方丈」と呼ばれる拝観に訪れた人が最初に訪れる建物から少しはなれたところにあるのが、以前このコラムでも取り上げた「玉砂利風」のタイルが敷き詰められたトイレです。
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以前「あまり好きではない」と書いたこのタイルもこのように手入れの行き届いた、なおかつ温かみのある空間で使われているとなかなか悪くないな、と思えてきます。このトイレの場合は右の画像にあるような曇りガラスがはめ込まれた木のサッシは見栄えがよく、しかも絶妙に太陽光を通すため、個室内に穏やかな明るさをもたらしているのが魅力です。
しかし、今回の本題はこのトイレではないのです。これまた上のトイレと同じ機会に軽く触れた、あのタイルが美しいトイレです。今回はこのトイレをもう少し詳しく見ていきます。
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こちらは前述の「方丈」の回廊から渡り廊下を渡ってすぐのところにあるトイレです。方丈では靴を脱いでいるためこのトイレも靴を脱いだまま入ります(もちろん入り口にスリッパが備え付けられています。)また、そのためかこのトイレは小便器ブース以外は全てフローリングになっており、気にならない人ならスリッパも必要ないかもしれません。床がフローリングでスリッパもしくは素足で用を足すというのは自宅のトイレがそうだからかも知れませんが、それだけで自宅のトイレで用を足すようなくつろぎ感がある気がします。
小便器のほうは以前にも軽く取り上げましたが、ここだけは掃除のしやすさという観点からか床と壁がタイル張りになっており、ここにも別のスリッパが用意されています。この青いタイルはいくつか微妙に色が異なっているものが混じっており、ぱっと見ても単調さがないのが絶妙なセンスを感じさせます。細かいタイルをアクセントとして使うという手法といいその色といい、建てられてから年月が経っていると思われるのにそれを感じさせない美しさがあります。
そして、このトイレの一番の魅力はおそらくこの個室でしょう。実はこの個室にはTOTOのネオレストSDが完備されているのです!壁や随所に用いられた木の年季の入った味わいはそのままに、この個室では最新型の温水洗浄便座が楽しめるというわけです。リモコンが取り付けられている辺りに回りと色の違うつぎはぎのようなものが見られます(前に使っていた便器の取り付け跡?)が、この際それは気にしないことにしましょう。これまた木製のサッシからは日の光が差し込み、靴は脱いだ状態で便座に腰掛け、ネオレストSDのワンダーウエーブ洗浄に身を任せればあなたもきっと長居してみたくなるはずです。
このトイレの魅力は白い壁と木をふんだんに使った、素朴で味わい深いインテリアと、それに取り付けられた最新技術の結晶であるネオレストSDとの融合でしょう。この年季の入った壁や木の色合いを見ていると「なんだかんだ言ってこういうのが一番落ち着くかも…」という気分になりますし、そんな空間に取り付けられたネオレストからは「新しいものでもいいものは取り入れていこう」とする気概が見て取れます。入ると思わず心が和むかのような雰囲気は先週紹介した永平寺とは違い、人々の心のよりどころとして人々を受け入れてきたお寺の持つ包容力を感じます。お近くにお立ち寄りの際には一度お試しになってみてはいかがでしょうか?
それではまた次週
<今回紹介したトイレ>
建仁寺
http://www.kenninji.jp/