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「殿! 殿は俺たちにとってその光輝く星なんですよ!」
酔った玉袋が思わず口に出した。
「うるせぇ、バカ野郎!」
「俺たちはビートたけしって名の星をずーっと追い続けているんですよ」
「バカ野郎! おまえらは誰かを好きになり過ぎるんだよ」
図星だった。星だけに。
「この商売はなぁ、てめぇが星だとおもってりゃあいいんだよ!
いいかぁ、どんなに、てめぇが、小っちゃくて星くずだろうが、
この人にだけは届かせようと一生懸命輝くこったよ」
俺たちは言葉もなく見つめるのみだ。
「それが出来なきゃな、男の子じゃないよ」
(「お笑い 男の星座―芸能私闘編」 (P301))
新しく始まった「名言集」。その第一回を飾るのは、私が敬愛してやまない浅草キッドの「お笑い 男の星座―芸能私闘編」からの一節である。
この引用は、師匠、ビートたけしとその弟子、浅草キッドとのやりとりである。
「おまえらは誰かを好きになり過ぎるんだよ!」このくだりがとても印象的である。なぜなら、私にもそのきらいがあるからである。それは音楽でもそうだし、作家でもそうだ。他にもたとえば調味料。ポン酢にいちどハマると、とりあえず何にでもかけてみて試してみたくなる。そしてポン酢にこだわりはじめたりする。そんなものだから、この言葉にひどく共鳴してしまうのである。
だから何度読んでも「じーん」とくる。さらに、「この人ににだけは届かせようと一生懸命輝く、それが出来ないと男の子ではない…」と畳み掛ける。なるほどなぁ。そうかもなぁ、と思ってしまう。
しかし、なぜ「なるほどなぁ」と思ってしまうのであろうか。その納得性はいったいどこからやってくるのか。
私はそれを、それはビートたけしが語ったから、と考える。ある世界で頂点を極めた人間が語るから、それを知っているから説得力があるのだ。
たとえば…
「この商売はなぁ、てめぇが星だとおもってりゃあいいんだよ!
いいかぁ、どんなに、てめぇが、小っちゃくて星くずだろうが、
この人にだけは届かせようと一生懸命輝くこったよ」
(32歳・フリーター(男性)・談)
であったら、どうだろう。
残念ながら、まったくもって説得力がない。
おそらく「名言」というものは、突き詰めることで醸成される「なにか」が発露しているのではないか。多分それは、たとえば汗だくになるまで肉体労働をした後の汗臭さみたいなものだろう、と考える。
これからは、そんな私が「名言」と感じた言葉を通じて、この「なにか」を追求できたらよい、と思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。
■今回紹介した本
![4167656507.09.LZZZZZZZ[1].jpg](http://www.1096.jp/images/4167656507.09.LZZZZZZZ[1].jpg)
(「お笑い 男の星座―芸能私闘編」 文春文庫 浅草キッド)