夜になると虫の声が聞こえてきたりと徐々に秋の気配を感じるようになってはきたものの今だ残暑厳しい今日この頃ですが、この季節の汲み取り式トイレで深刻なのが「うじ」の問題。暑さにより文字通り「湧いてくる」あれです。そしてこの不快なうじを退治してくれるのが「うじ殺し」というわけ。
この「うじ殺し」の世界、実はなかなか面白いものなのです。何がおもしろいのか、それはなんといってもパッケージの強烈さに他なりません。有名メーカーから中小のメーカーまで様々なメーカーがうじ殺しに参入しているのですがそのいずれもパッケージのデザインが時代を感じさせるものなのです。置いてあるだけでその周囲だけ20-30年タイムスリップしたような錯覚に陥ること請け合いです。今回はそんなレトロなうじ殺しの世界をのぞいてみようと思います。
私のうじ殺しとの出会いは小学校低学年の頃でした。家族で自宅から少し離れたディスカウントストアーに買い物に行った時、うじ殺しのメジャーブランドの一つエステー化学の「エスゾール」を初めて目撃してしまったのです。親戚の家も物心付いたときには水洗だったためうじ専用の殺虫剤があることにも驚きましたが、その昭和を感じるラベルデザインと製造元があの有名なエステー化学であることに二重のショックを受けました。
「あのエステー化学がこんな古いラベルを数十年間ほったらかしに・・・」
そう、その外見は他のエステー化学の製品とは一線を画すようなレトロかつ毒々しいもので、当時小学生だった私にある種の恐怖を植え付けるには十分すぎる存在でした。
そして最近になって調べてみるとどのメーカーの製品もエスゾールのようにパッケージが古く、どぎついのです。白元のように自社の殺虫剤の共通ブランド(白元の場合ワイパア)を名乗っていてもやはりパッケージは他の製品に比べ古めかしいです。
さて、各社の特徴的なパッケージは最後に関連リンクで示すことにしまして、うじ殺しという製品について少し書いてみようと思います。製品の形状としては瓶入りの液状のものが多く、その多くは乳白色をしています。においの質自体は防虫剤に近く、決して悪いにおいではないと思うのですが、非常に強いため鼻にツンときます。また、おもしろいことに一部の製品ではうじだけでなくゴキブリやノミ・ダニといった害虫にも効果があるようです。
製造元もなかなか興味深いところで、金鳥やエステー化学、白元といった有名メーカーからナガオカ販売、桂屋ファイングッズと言ったあまり聞きなれないメーカーからも発売されています。ちなみに桂屋ファイングッズは防虫剤や最近見かけなくなったにおい消しのカラーボールなどといった製品を販売していますが、これらの主成分はパラジクロルベンゼン、そしてうじ殺しの主成分はオルトジクロルベンゼンと言い名前が非常に良く似ています。ひょっとしたらこの2つは性質の近い物質なのかもしれません。それならにおいが似ているのも納得できます。
インパクトあるラベルと多岐にわたる販売元と商品名でなかなか奥の深い世界を見せてくれるうじ殺しですが、やはりパッケージが古いことに関しては少々謎が残るところです。間違えて飲まないようにわざと強烈なデザインにしているとも言えますが近代的なデザインでもどぎつい配色は実現出来るだけに十分な説明にはならない気がします。もう一つ考えられるのはエアゾールタイプや据え置き型の殺虫剤と比べて特にどの製品を選んでも機能は変わらないだけにそれほど差別化をしなくても売れてしまうことから各社がずっと改良を加えないで放っておいているという可能性もありますが、これも汲み取り式トイレを使用している家庭の動向などと言った裏づけがないため不確実です。(ひょっとしたら『うちはワイパアZ一筋よ!』という方がいるかもしれませんし)
同じく危険性の高いトイレ洗剤のようにカラフルなボトルに入った近代的なうじ殺しも見てみたい気もしますが、あのサイケデリックなラベルに茶色のボトルと中に入った乳白色の液体とのコントラストの今のうじ殺しはやはり情緒があるなと感じます。21世紀になった今、こんな殺虫剤があってもいいじゃないかと言わんばかりに時代に流されずどっしりと構える日用品の姿がそこにある気がします。
それではまた次週
<関連リンク>
エスゾール 製品写真
エステー化学の製品です。小学生の頃に初めて見たうじ殺しがこれですが、なんとなくイメージと違う気がします。もっと強烈だった気がするのですが気のせいなのでしょう。
ワイパアZ 製品写真
白元の製品です。殺虫剤のブランド「ワイパア」シリーズに属していますがやはり他のワイパアシリーズとは一線を画す古めかしさ。アルファベットのZよりもカタカナの「ゼット」が似合う一品です。
ウジころしゾールトイレス 製品写真
桂屋ファイングッズの製品です。「ウジころし」という独特の表記に味があります。
金鳥ダイアジノン乳剤 製品写真
金鳥の製品です。あの金鳥もこんなレトロなパッケージを世に送り出しているんですね。
バルサンうじ殺し乳剤 製品写真
ライオンの製品(写真は中外製薬時代のもの)です。上の各製品と比べるといかにも業務用製品と言った雰囲気の事務的なパッケージですが、ロゴを縁取るギザギザなどやはり只者ではない感を漂わせています。
バポナうじスティック 製品写真
アース製薬の製品です。珍しい粒子タイプです。ゴキブリ用などのバポナも購入時に印鑑が必要なほど危険な殺虫剤なのでそれと比べても毒々しさは強調されていないですが、製品に書かれたロゴマークの「うじ」が蛆虫の生態や姿形と妙にマッチしていて気持ち悪いです。