『間取りの手帖』という本をご存知でしょうか?変な間取りのアパート・マンションの物件を一言コメントと共に多数紹介しているちょっと変わった本です。入り口が二つある部屋、バルコニーがやたら広い部屋、四角い部屋なのに内部の各部屋の区切り方が複雑怪奇な部屋など、著者の言葉を借りれば「設計者の顔が見たい」物件の数々に驚かされました。それと同時にトイレ巡礼をしている中でもいくつか「なんでこうしたんだろう?」と思ってしまうような変わった作りのトイレに出会ったことを思い出しました。今回はそんな変わった間取りのトイレを二つ紹介していこうと思います。
まず一つは以前にもこのコラムで取り上げたことのあるお台場のパナソニックセンターのトイレ。公共の施設では見かけることの少ないビューティートワレの最上級機種を体験できるという意味でも貴重なトイレですが、2階のトイレがなかなか特徴的な間取りをしております。
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これが内部の写真の一部ですが、お分かりになりますでしょうか?個室の外に小便器が設置されているにもかかわらず、個室内にも小便器が置かれているのです!小便器に鍵付きの個室とはなかなか贅沢な気もしますが、大便器と一緒になっているため無駄に広く、シンプルすぎるほどの内装と相まってそれほど特別な感じはしません。
また、この個室の扉は外開きで普段は扉が閉まった状態のため、小用のためにこのトイレを訪れた人はこの個室内の小便器に気づかないのではないでしょうか?最近増えているという小用でも座って用を足す人が個室に入ってたまたまこの小便器に気づいたとしても、おそらく彼らは隣の大便器を利用することでしょう。つまりこの小便器を利用する人は「小用は立ってする人で、なおかつ小用でもとりあえず個室の様子を見て見る人」ということになります。とりあえず個室の様子を見るような嗜好を持った人ならおそらくこの小便器を喜んで使うでしょう。
そう考えると「一見普通のトイレにサプライズを」という設計者のトイレ巡礼者に向けた粋な計らいとも取ることができます。それならこれほどのスペースがあればバリアフリートイレにするか、または個室をもう一つ設けるなどといった選択肢もあったと思いますが、あえてそれをしなかった理由も分かるというものです。個人的にはこういうちょっとした遊び心は好きです。
もう一つはもう一度同じ作りで立て直されたらおそらく魅力的なトイレになるであろうこんなトイレです。
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世田谷区内にある公衆トイレです。内部はごく普通の老朽化した公衆トイレなのですが、このトイレで驚きなのは外です。なんとトイレの上に小粋なオープンスペースが広がっているのです!このオープンスペースとわずかながらも置かれている緑によって遠くから見るとなんとも優雅なたたずまいです。このスペースは特に何かに使うというものでも無い様ですが、坂道と平らな道が交わるこの場所の特徴からおそらく坂道の側からこのトイレへのアクセスをよくする意味で作ったのかもしれません。実際、それほど大きく違うというものでもありませんが。
残念ながら肝心なトイレの部分に清潔感が感じられないため、トイレとしては利用したくありませんしお勧めも出来ませんが、それを差し引いても私の中では結構お気に入りの部類に入る公衆トイレです。その理由はなんといってもこの無駄に力の入った構造の魅力です。実際トイレ上のスペースはなかなか見晴らしが良く気持ちいいですし、外見もなかなかサマになっています。この作りを継承して新しく立て直したらさぞ素晴らしい公衆トイレとなるでしょう。
と、このように今回は変わった作りをしたトイレを二つ紹介しましたが、どちらのトイレも設計者にどういう理由でこのような構造にしたのかなどを詳しく聞いてみたい気にさせるトイレでした。また同時に詳しくは分からないものの、設計者の「普通のトイレにはしたくない」という情熱に触れることが出来るトイレでした。これからもこういった個性的なトイレが生まれることを期待しつつ今回のコラムを終わりたいと思います。
それではまた次週
<今回紹介したトイレ>
パナソニックセンターお台場
りんかい線 国際展示場駅よりすぐ。
世田谷区公衆トイレ
環七通り沿い 代田2丁目付近