「KIMURA」の野望

最近JR東日本の駅のトイレを利用すると時々こんなロゴの製品に出会います。

左の画像は便器洗浄に使用するセンサー部分でメーカー名は”KIMURA GIKEN”右の画像は分かりにくくて申し訳ないですが便器の刻印で、”KIMURA”と書かれています。どちらも同じメーカーであることはなんとなく分かるのですが、それではいつの間に”KIMURA”などというメーカーが公共トイレの世界で幅を利かせ始め、とうとう便器を作るまでになったのでしょうか。苗字が会社名と同じとあってなんとなく他人とは思えない心境の筆者がこの会社の詳細について調べてみました。


このメーカーの正式名称はローマ字のロゴと同様に木村技研といいます。創立は1948年と意外に古く、衛生設備の設計施工からスタートした会社です。1972年に節水型の洗浄装置「アクアエース」を発売したあたりからこのメーカーのユニークさが徐々に出てきたものと思われます。そういえば木村技研という名前は知らなかった頃からJRの駅を中心に「AQUAACE」というロゴの製品を時々見かけたことがありました。ちょっと音が独特(普通の和式便器よりも甲高い感じの洗浄音だと記憶しています。)だったので印象に残っています。今思えばこれも木村技研だったんですね。

その後、ステンレス製便器やスーパーカセット便器(写真上)などJRとの共同開発によって便器も開発するようになっていきます。TOTOやINAXのそれよりも滑らかな流線型が特徴のスーパーカセット便器は最近JRの改装済のトイレに良く設置されているところを見ますし、ステンレス製便器もいくつかの駅では健在です。ステンレスのためメーカーの刻印がないまたは目立たないため木村技研製であるかは微妙なところですが、可能性は高いのではないでしょうか。

また、しばしば変わったトイレとして話題に上ることのある、前に立った人を軸に180度回転して閉まるというドア。これも木村技研の製品のようです。個人的にはこのダイナミックな戸締めや、扉に負けず劣らず合理的な内装に魅力を感じるためこれを見つけると少し興奮しますが、冷静になって考えてもやはり使いやすさという点ではなかなか優秀だと思います。
と、このように節水から使いやすい扉の作りまで様々な場面で公共トイレ環境の改善に力を注いでいる木村技研ですが、最近は節水システムにフォーカスし始めたのか今まで掲載されていた上記のドアやにおいの発生を防ぐ特殊な床「ナガセルフ」などの商品情報などが消えていました。「会社概要」のページを見るとまだその分野の製品も扱っているようなのですが、どうなのでしょうか。いずれにせよ、木村技研には今後もTOTO・INAXなどのような大手メーカーとは違う独自のポジションで画期的な商品を生み出して欲しいものです。そして同姓の者としてはこの記事がKIMURAブランドの知名度向上にほんの少しでも役立つことを願ってやみません。
それではまた次週
<今回紹介したトイレ>
(4枚の写真全て)JR上野駅 13番線脇のトイレ
このトイレはドア・便器・節水装置・ナガセルフと「生きた木村技研のショールーム」的な物件でもあります。

衛生陶器愛好家の、トイレ巡礼