トイレCMを振り返る

突然ですが、筆者はCM好きでもあります。15秒あるいは30秒で伝えたいことを伝えるわけですからその分特徴的な表現などが多く、興味深いからです。そして私の中にはなぜかそういったCM達が無意識のうちに頭に叩き込まれているようです。
そういったCM達の中でもやはり注目してしまうのはトイレのCM。どちらかというとイメージを重視したシステムキッチンやシステムバスといった他の住宅設備関係のCMとは違い、トイレのCMはその機能を時には面白く、時にはシュールに伝えていたという印象があります。今回はそんなトイレCMの中でも特に印象深いCMを振り返ってみようと思います。ちなみに筆者の物心付いた時期の関係上、主に90年代初頭以降のCMに限定した内容になることをあらかじめご了承ください。


まず、最大手のTOTOのCM。TOTOといえば「おしりだって洗って欲しい」を筆頭とした戸川純による一連のウォシュレットCMが有名ですが、90年代以降はおとなしいCMが多くなった印象を受けます。92年発売のGαシリーズのCMあたりまでは初代から続くサウンドロゴ「♪TOTOウォシュレット」が健在で、それが80年代のコミカル・シュール路線を90年代に伝えていました。基本的にTOTOのトイレCMというとある時期まではウォシュレットに関するもので、便器のCMはINAXがSatisを大々的に売り出すようになってからNEORESTのCMを始めるようになった程度だと記憶しています。
また、TOTOのイメージキャラクターはこの間樋口可南子、鈴木京香、渡辺真里奈などが担当していましたが、前者二人はトイレとの絡みは少なく、主にシステムキッチンのCMなどに重点的に出演していました。この間ウォシュレットはノータレント(97年には当時の最新型ウォシュレットを装着した便器が「新しいウォシュレットはおトクです!」と演説しながら住宅街を練り歩くという「タレントはトイレ」なCMを放送しています。)で放送されました。だからある意味では真のTOTOイメージキャラクターと呼べるのは渡辺真里奈からということも出来るかもしれません。
そして、対するINAXです。ひょっとしたら90年代に強烈なCMを放っていたのはむしろINAXのほうかもしれません。90年代初頭のおそらくCGを駆使したゾウがシャワートイレを気持ちよさそうに使っているCMも覚えていますが、なんといっても強烈なのは佐野史郎を起用した一連の「抗菌トイレKIRAMIC」のCM。佐野史郎という人選にまず少し驚きますがそれ以上に驚きなのはその演出。なんと空に浮かんだUFOのような物体から光に乗って便器と佐野史郎が降ってくるというSF映画顔負けの演出が施されているのです!しかも佐野史郎は「我こそは宇宙からの侵略者だ」とでも言いたげに「はっはっはっ!」と高笑いしている・・・。これは衝撃でした。さらにこの流れに乗って同時期のシャワートイレのCMには佐野史郎とオスマン・サンコンを共演させるというサプライズもありました。
そしてその後INAXイメージキャラクターは飯島直子に代わり、SatisやPASSO(今やプチトヨタ・・・)のCMも他のINAX製品同様のややおしゃれなイメージにまとめられることでINAXのコミカル路線は終わりを告げます。その後新SATISの当たりから飯島直子時代以上にスタイリッシュな印象になり、現在に至ります。
このように大手2社のCMを見るとSatisが登場したあたりで両者ともCMの雰囲気が変わったという仮説を立てることが出来ます。それまでの便器はTOTOの初代NEORESTというある意味別格の存在を除いて洗浄方式やスペース効率などといった面でメーカー間の差はほとんどありませんでした。そこに省スペースでデザイン性が高く、それでいて価格もやや高め程度のレベルに抑えたSatisが登場しINAXが大々的に売り出すと人々の中に「トイレも少し工夫すればよりよくすることができる」と、トイレを見直す流れが起きてきました。そしてSatisは好調に売れTOTOも負けじと対抗商品を投入しました。この流れの中で今まで家を建てる際システムキッチンやバスルームに押されて水回りの中であまり深く検討されることがなかったトイレが徐々に重視されるようになってきた気がします。それと同時にCMも温水洗浄便座のみで違いを見出していた頃の機能重視のものからシステムキッチンなどと同様のイメージ重視のものに徐々に変わってきているのだと思うのです。前述のINAXの佐野史郎やTOTOの便器街宣CMなどのようなシュール路線のCMが個人的には結構好みなのでこういったCMが減るのはさびしいところですが、トイレが見直されつつあるという流れを反映してのことであればそれは歓迎しなければいけない事実なのでしょう。
最後に、各社を振り返るという今回の記事の趣旨どおり他社のCMにも軽く触れておきましょう。まず松下電工なのですが、残念ながらCMを見た記憶がありません。しかし、カタログや店頭の販促グッズにはきちんとタレントが起用されており、森口博子、森末慎二、三井ゆりなどが担当していました。あと、日立化成(現:日立ハウステック)は歌手の中島啓江や研ナオコでした。両者ともなかなかインパクトがありました。
と、私が覚えている限りのトイレメーカーのCMは以上なのですが、このほかにも「こんなのがあるよ」などここに紹介されていないCMがあればコメント欄などで教えていただけると幸いです。
それではまた次週
<訂正>
90年代初頭のINAXシャワートイレのCMに関して「ゾウがシャワートイレを気持ちよさそうに使っている」という記述がありますが、シャワートイレを使っているのはゾウではなくゴリラでした。私の記憶違いによる間違いです。お詫びして訂正させていただきます。
<関連リンク>
TOTO公式サイト
現在放映されているCMをご覧になれます。
INAX公式サイト
現在放映されているCMをご覧になれます。
MR. MUSIC公式サイト
CM音楽制作会社のサイトなのですが、「CM TRACKS」のbacknumberで1978-1986を選択すると「おしりだって洗って欲しい」のBGM+サウンドロゴが視聴できます。シュールな雰囲気の片鱗を感じ取っていただけると思います。

衛生陶器愛好家の、トイレ巡礼