前回はトイレを流すための操作方法について触れてみましたが、今回はその水の流れ方について触れてみようと思います。トイレの流れる音の擬音語といえばやはり「ジャー」ですが、実際はどんな便器も「ジャー」という音が出るというわけではないのです。皆さんの自宅の便器も実は「ジョロジョロ・・・」とか「ボゴゴ・・・」という音だったりしていませんか?この違いはどこから来るかといいますと、実は便器の世界にも確固たる階級が存在していたのです。
洋式便器の場合、「ジャー」という音を立てる便器は洗落し式と呼ばれます。水の勢いでモノを洗い流すというシンプルな構造で、最も普及型の便器ということになります。普及型だけに欠点も多く、水溜りが小さく汚れやにおいが発生しやすい・流す音が大きい・水はねが多いなど。
これより一回り上のクラスのものになると水溜りもやや大きくなり、音も静かになるため最近ではこちらを見かけることも多くなってきました。マンションなどでもこの便器を各室に採用していることを売りの一つにしている物件も多いようです。こちらはサイホン式とよばれ、こちらは「ジャー」では「ジョロジョロ」という水流の音に「ボゴゴ」という空気の入る音が混じったような音です。おそらく一度は聞いたことのある音ではないでしょうか?
さらにこのサイホン式はその構造からいくつかのバリエーションに分けることが出来るのですが、今回話題の中心にするのはそのサイホン式の中でも最高峰に位置する分類の便器です。それがこの通称「ワンピース便器」です。
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タンクが低く、水溜りが非常に広いのがこの便器の特徴。普通の便器はタンク部と便器本体が別々になっているのに対して、こちらはワンセットになっているので「ワンピース」という名がついています。いい画像が手元になかったので分かりにくいのですが低く、どっしりとした高級感のあるデザインです。タンクの低さは便座をウォシュレットにするとちょうどタンクと便座がフラットになるほどです。
しかし、正式名称を「サイホンボルテックス式」というこの便器の最大の特徴は静かさにあります。ボルテックスとは渦という意味ですが、その名の通り便器を水流が渦を描くようにして静かに洗浄します。普通のサイホン式とは違い「ジョロジョロ」という水流の音がほとんどせず、水道の蛇口をひねったときに聞こえる水流程度の音しかしません。水洗レバーも大きく、操作感も適度な手ごたえがありいい感じです。さらに、操作した際にタンク内の水が便器内に流れ込む際に発せられる「ポコッ」という音がするのですが、この音も非常にいい。電磁式フラッシュバルブの回でも書きましたが、「排泄完了!」の気分と共鳴する音だと思われます。個人的には開けたばかりの酒を注ぐときに聞こえる「トクトクトク・・・」という音(ウイスキーのCMなどで聞こえるあれです。)やゴルフのカップインでの「カラン」という音に匹敵する快音だと思います。
このようにデザイン、音、触感という点においてこの便器は非常に魅力的です。車にあるんなら便器にも・・・ということで自動車評論家風に言うと「非常に高い官能性を持っている」という感じでしょうか。デザインでは最新のSatisの無駄のなさやネオレストのグラマラスさも魅力的ですが、音という点ではいまだワンピース便器を超えるものは出てきていないと思っています。「ポコッ」を聞きたいがためにおもわず何度も水を流したくなるほどです。
しかし、このワンピース便器にも逆風が吹きつつあります。それは使用水量の多さ。これはこの方式を採用している以上どうしようもないことなのかも知れませんが、この便器は一回流すごとに16lの水を使うそうです。ちなみにTOTOの最新の便器各種は大・小切り替えが出来る上に最大でも8lです。つまり2倍の水を使うというわけ。確かに今の省エネ・節水の時代には合わないです。
この事実を突きつけられてしまうとワンピース便器を選ぶのもちょっと気が引けてしまいます。しかし、私はまだあの官能性に惹かれております。そのうち何か機会があれば(それが設置されている物件を借りるとか)所有してみたいものです。節水の関係から今後そう長くはカタログに残らない気もしますからひょっとしたらこれを新品で買える機会もそうそう長くないかもしれません。現在設置されている、またはこれから設置される予定のワンピース便器のいっそうのご活躍を期待しつつ今回のコラムを終わりたいと思います。
それではまた次週。
今回紹介したトイレ
モーモーパラダイス蒲田牧場
蒲田東急プラザアネックス8F
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